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【土門「辛」聞】
拝啓 野村哲郎大臣殿(3) 肥料行政の「成果」信じているのですか
- 土門剛
- 第227回 2023年08月24日
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安岡氏が取り組んだ高騰対策を振り返ってみると、場当たり的に補助金をばらまいたという印象しかない。「それで問題は解決したのか」と問われたら、安岡氏はどう答えただろうか。
補助金は大きな弊害をもたらした。前月号で紹介した全農や商社が、塩化カリの調達で「天井相場にフルスイング」したことである。これには裏事情があって、原料調達を心配した安岡氏が、数量確保を全農や商社に強く要請したタイミングが、運悪く、史上最高値の天井相場だったということだ。
全農や商社は、内心、高いと思いつつ、安岡氏の要請を受け入れた。どんなに高く買っても、最後は政府が補助金で尻拭いをしてくれるという期待があったのかもしれない。それが大量の在庫となり、肥料メーカーの経営を圧迫する原因となった。
そのことは安岡氏にとって“不都合な真実”と思ったのか、その情報をつかんでいても、業界の実態について省内上層部に報告しなかった。それを裏付けるのが、前月号でも触れたように「肥料業界の経営は順調」という趣旨の説明を省内上層部にしていたことだ。
なぜそういう報告を安岡氏が、平気でしていたのか。その話から始めてみたい。
安岡氏に、ぜひ目を通してもらいたい事実がある。肥料原料の調達を全農に任せていたホクレン肥料(札幌市)の最新決算内容だ(次ページ表)。同社はホクレンの100%子会社。非上場だが、官報に掲載された決算公告(22年4月から23年3月=58期)から企業業績のアウトラインを読み取ることができる。
補助金は大きな弊害をもたらした。前月号で紹介した全農や商社が、塩化カリの調達で「天井相場にフルスイング」したことである。これには裏事情があって、原料調達を心配した安岡氏が、数量確保を全農や商社に強く要請したタイミングが、運悪く、史上最高値の天井相場だったということだ。
全農や商社は、内心、高いと思いつつ、安岡氏の要請を受け入れた。どんなに高く買っても、最後は政府が補助金で尻拭いをしてくれるという期待があったのかもしれない。それが大量の在庫となり、肥料メーカーの経営を圧迫する原因となった。
そのことは安岡氏にとって“不都合な真実”と思ったのか、その情報をつかんでいても、業界の実態について省内上層部に報告しなかった。それを裏付けるのが、前月号でも触れたように「肥料業界の経営は順調」という趣旨の説明を省内上層部にしていたことだ。
なぜそういう報告を安岡氏が、平気でしていたのか。その話から始めてみたい。
ホクレン肥料決算公告 黒字の中身は原料在庫資産
安岡氏に、ぜひ目を通してもらいたい事実がある。肥料原料の調達を全農に任せていたホクレン肥料(札幌市)の最新決算内容だ(次ページ表)。同社はホクレンの100%子会社。非上場だが、官報に掲載された決算公告(22年4月から23年3月=58期)から企業業績のアウトラインを読み取ることができる。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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