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土門「辛」聞

拝啓 野村哲郎大臣殿(3) 肥料行政の「成果」信じているのですか

安岡澄人氏が、生産振興審議官のポストに就いたのが、2020年8月なので、21年10月、中国政府が化学肥料の全面的な輸出規制に踏み切って以降の肥料高騰問題をフルカバーした。そのことが認められたのかどうかは分からないが、この7月には消費安全局長へ昇進された。
安岡氏が取り組んだ高騰対策を振り返ってみると、場当たり的に補助金をばらまいたという印象しかない。「それで問題は解決したのか」と問われたら、安岡氏はどう答えただろうか。
補助金は大きな弊害をもたらした。前月号で紹介した全農や商社が、塩化カリの調達で「天井相場にフルスイング」したことである。これには裏事情があって、原料調達を心配した安岡氏が、数量確保を全農や商社に強く要請したタイミングが、運悪く、史上最高値の天井相場だったということだ。
全農や商社は、内心、高いと思いつつ、安岡氏の要請を受け入れた。どんなに高く買っても、最後は政府が補助金で尻拭いをしてくれるという期待があったのかもしれない。それが大量の在庫となり、肥料メーカーの経営を圧迫する原因となった。
そのことは安岡氏にとって“不都合な真実”と思ったのか、その情報をつかんでいても、業界の実態について省内上層部に報告しなかった。それを裏付けるのが、前月号でも触れたように「肥料業界の経営は順調」という趣旨の説明を省内上層部にしていたことだ。
なぜそういう報告を安岡氏が、平気でしていたのか。その話から始めてみたい。

ホクレン肥料決算公告 黒字の中身は原料在庫資産

安岡氏に、ぜひ目を通してもらいたい事実がある。肥料原料の調達を全農に任せていたホクレン肥料(札幌市)の最新決算内容だ(次ページ表)。同社はホクレンの100%子会社。非上場だが、官報に掲載された決算公告(22年4月から23年3月=58期)から企業業績のアウトラインを読み取ることができる。

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