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今年の市場相場を読む

食文化に欠かせない野菜類この13年 カイワレ/食用菊/ハーブ類/ベビーリーフ

 昔からある伝統料理や地元自慢の郷土料理には、必ず決まった材料や味付け、装飾がある。日本なら季節感を大切にする「和食」。欧米ではジビエの煮物などが多いが、味付けや香りづけでは定番のように香辛野菜、ツマ野菜が使われている。ただし、歴史のある香辛野菜類が特定の料理に特化しているわけではない。生産・流通業界は、現代における香辛野菜の利用で生産と需要の安定を考えたいものだ。
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カイワレ/食中毒疑惑受け8割減、家庭料理にも伝統的な利用法

【概況】東京市場に入荷するカイワレを09年1月~10年1月までの13カ月に対し、13年後の直近22~23年の同時期を比べてみると、数量では4割減、単価は1・8倍になった。カイワレは96年7月にO-157による食中毒事件の“犯人”と疑われ(後に無罪が証明された)、その風評被害をモロに受けて、バブル期には3700tを上回る入荷があったが事件の翌年には一気に800tにまで激減。これだけの入荷減でも単価はほぼ変化なかった。
【背景】8割近くの入荷減に対して290~300円の単価は変化なしとは、スーパーなど小売店で販売しなくなり、一部業務用だけが残ったことを意味している。そもそもカイワレは紅タデやボウフウなどと同じ「め類」のツマ物で、刺身や煮物の付け合わせや彩りをメインに、ピリッとした食味が香辛料的に利用されていた。それが昭和50年代の“差別化商品発掘ブーム”の中で、ツマ物から一般野菜に“出世”したものだが、同様に出世野菜となったオオバより2倍以上に急増した。
【今後の推移】ほとんどのカイワレは、工業野菜のノウハウを持つモヤシ業者によって生産、出荷されていた。モヤシはそれまで野菜売場の目玉商品にされ、同様にカイワレも安く売られ、一般家庭に瞬く間に普及した。家庭では、サラダに混ぜたり卵とじやみそ汁などに使ったり。だが、手巻き寿司には細切りキュウリとともに利用されるなど、伝統的な和食由来の使われ方も受け継がれている。業務用が復活し、モヤシと一緒にスーパーへ直納される食材になっている。

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