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新・農業経営者ルポ

雪国・秋田で挑み続ける野菜の周年栽培と周年出荷

学生時代に手にした1冊の雑誌に紹介されていた都市近郊農家による軟弱野菜の周年栽培。これを雪国・秋田で実現し、工場のように野菜を作り、日本一になる。20歳の大塚和浩はそんな夢を胸に就農した。以来40年、個人経営を法人化し、ネギの周年出荷と軟弱野菜の周年栽培、そして通年雇用をも成し遂げた。「まだ道半ば」としながらも、仲間と直売所を立ち上げるなど販路も切り拓いたいま、農業は夢と希望のある仕事として次世代にバトンを渡そうとしている。文・写真/筑波君枝、写真提供/(有)大和農園
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おもしろい農業で日本一になる!

秋田県は東北最大のネギの産地だ。なかでも能代市で栽培される白神ねぎは、県を代表するブランドで、県産ネギの7割を占める。日本海と白神山地からの涼しい風と、ブナの原生林に蓄えられたミネラル豊富な水が、甘みのあるネギを培ってきた。
特別に白神ねぎという品種があるわけではないが、かつては「秋田のしろねぎ」としていた名称を「白神ねぎ」に変更し、地域一体となってブランド化を推進したことで売上を伸ばした。独自の基準を設け、週に1回抜き打ち検査をするなど品質保持を徹底している。
白神ねぎは約220haで栽培されているが、そのうち約70haの圃場は、「風の松原」と呼ばれる海岸沿いの砂丘地にある。能代市の資料(注)には、「1970年に秋田県の畑作パイロット事業による畑地100haの造成を機に、灌水設備が整えられ、ネギの作付面積が飛躍的に拡大した」とある。砂丘地の農業は土壌改良をしながらではあるものの、50年以上同じ圃場でネギを作り続けていても、連作障害などはほとんど出ていないという。
大塚和浩が代表を務める大和農園も砂丘地にある。約18haの圃場でネギを、1.75haに及ぶ60棟のハウスでチンゲンサイを栽培する。かつてはキュウリやトマト、キャベツ、ナガイモなども栽培していたが、2018年に県の園芸メガ団地事業を導入したことで、栽培品目を2つに絞った。
大塚は秋田県農業法人協会会長をはじめ、多くの役職を歴任し、2019年には「大日本農会農事功績者表彰 緑白綬有功章」を受章するなど、長年、秋田県の農業に貢献してきた。

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