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特集

続・おいおい鈴木君 鈴木宣弘東大教授の放言を再度検証する


畝山氏の推察による結論は、アメリカの規制機関が使用を認めている食品添加物が3000種類もあるのではなく、管理されている食品添加物が日本より多いのではないかということだ。一例として「GRAS物質と呼ばれるカテゴリーが存在し、一般に安全とみなされる物質(食塩、砂糖、ベーキングパウダー等の食品成分)がここに分類されている」(厚生労働省の「諸外国における食品添加物の規制等に関する調査報告書」)を挙げている。
要は昔から使っている普通のもので、日本では3種類しか食品添加物に登録されていないが、アメリカでは38種類あると記し、希少糖の類で日本では食品添加物の指定なしに流通し、アメリカで指定ありとする例を畝山氏は同書で示している。
畝山氏も述べている通り「単純に数だけ比較しても意味がなく、傾向として食品添加物の指定が多い方が品質管理される対象が多いので安全だろう」なのである。そもそも3000種類も「認めている」という書き方が著しく不正確で、厚労省基準では約1600だ。GRASの例にあるように、管理対象となっていると表現すべきだろう。
もちろん鈴木氏が、日米相互で食品添加物の指定有無が異なり、それが実際に流通しているかをすべてチェックしたのなら話は別だが、それをしたとは思えない。
「添加物の定義、対象食品の範囲、使用可能な量などが異なり単純に比較できない」が厚労省の公式見解であり、日米相互の食品添加物に関する詳細な比較表が明示されていない以上、「ものによってはアメリカでは日本の60~80倍も緩い基準が採用されている。こうして日本の多くの安全基準が緩和される可能性がある」という鈴木氏の指摘にいたっては“検証不能”である。日米で使い方が異なる一部の極端な事例を比較して60~80倍も緩い基準と主張している可能性はあるが、それをもって「日本の多くの安全基準が緩和される可能性がある」と述べるのは早計だろう。いたずらに不安を煽る言説と言わざるを得ない。

【米国のコメ生産費「1万円超え」の根拠は?】

鈴木氏は『自民党という絶望』(宝島社新書)の第七章「食の安全保障を完全無視の日本は『真っ先に飢える』」を質問の回答者という形で執筆している。同書においてこういう。
アメリカではコメ1俵を4000円くらいの低価格で売るように農家に求めますが、生産するためのコスト1万2000円との差額は全額国が補填するよ、ということを明確に打ち出しているわけです。農業政策には莫大な予算をつけて、ひたすら増産を図る。

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