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特集

続・おいおい鈴木君 鈴木宣弘東大教授の放言を再度検証する


白井氏の批判は、この論文が否定された事実について鈴木君が何も言っていないことだ。後日談だが、この論文は多くの科学者から間違いと批判され、2013年11月に雑誌掲載が取消しになった。ところが2014年6月に別の雑誌にそのまま再掲載し、反GM運動の理論的支柱として現在でも利用され、批判を浴びているといういわくつきの論文だ。
2番目の批判は次の記述だ。
筆者も出演したNHKスペシャル「世界同時食糧危機 アメリカ頼みの食が破綻する」(2008/10/17放送)で、米国穀物協会幹部が「小麦は我々が直接食べるので、遺伝子組み換えにはしない。大豆やトウモロコシは家畜のエサだから構わないのだ」と発言し、物議を醸した。
白井氏はビデオ録画を見直したが、そのような発言はなかったという。他方、「サンデープロジェクト」(テレビ朝日2008/12/7放送)では米国穀物協会幹部が「小麦は消費者意識もあり微妙な問題だ」と発言をしているが、鈴木君が言うような「物議を醸す」過激発言はいっさい見られないとも書いている。
白井氏は次のようにも述べている。「一般大衆向けに話をおもしろくし単純化するため、不都合な真実は抹殺し、十分な追跡調査をしないのは、商業ライターやジャーナリストではよくあることだろう。しかし、鈴木教授は日本を代表する大学の現職教授だ。彼の発言、著作にはなるほどと思う卓見もあるだけに、今回指摘したようなお粗末さは実に残念だ。百の真実を述べても、一つでもねつ造、歪曲があれば、研究者生命に関わる」。
私は鈴木君が白井氏の忠告を聞き入れて、専門外の発言には注意することを願っていたが、それはかなわなかった。

【東洋経済オンラインの対応 見苦しい言い訳も】

それから8年後に鈴木君は「農業消滅:農政の失敗がまねく国家存亡の危機」(平凡社新書 2021/7/19)を出版した。そしてその本の要旨を「『リスクのある小麦』の輸入を続ける日本の末路・発がん性指摘される農薬を効率重視で直接散布」と題する記事にして東洋経済オンライン(2021/8/27)に掲載し、本の宣伝をした。そこには「なぜ、自国民が食べないものを日本に送るのか」との見出しで、次のような記載があった。
アメリカの穀物農家は、日本に送る小麦には、発がん性に加え、腸内細菌を殺してしまうことで、さまざまな疾患を誘発する懸念が指摘されているグリホサートを、雑草ではなく麦に直接散布している。収穫時に雨に降られると小麦が発芽してしまうので、先に除草剤で枯らせて収穫するのだ。

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