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これは全くの間違いであり、読者からそのことを指摘された。すると鈴木君はTwitter上で「この記事はタイトルを含め東洋経済の編集部さんによるもので鈴木が書いたものではありません。日本向け小麦だけに散布しているわけではないので、拙著本文の『日本に送る小麦には』という表現は完全にミスリーディングですね。削除します」として自ら誤りを認め、東洋経済編集部に削除を求めた。著者名を明記しながら自分が書いたのではないという言い訳は見苦しいが、とにかく間違いを認めたことは評価できる。
これを受けて東洋経済オンラインは当初の大見出しである「『自国民は食べない』小麦を輸入する日本の末路」という記述を「『リスクのある小麦』の輸入を続ける日本の末路」に修正し、本文の「『自国民が食べないもの』が日本に送られている」との記述も「『日本産にないリスクのある食べ物』が送られている」に変更した。一見訂正したように見えるが、米国産小麦に「リスクがある」、すなわち米国民はリスクがある食べ物を食べているという根拠がない主張は全く変わっていない。
さらに言えば「発がん性に加え、腸内細菌を殺してしまうことで、さまざまな疾患を誘発する懸念が指摘されているグリホサート」という記述も間違いだが、これは別の機会に批判されている。
【平凡社の対応 フェイクニュース原点の著作】
鈴木君の著書「農業消滅:農政の失敗がまねく国家存亡の危機」については、私が共同代表を務めるファクトチェック組織「食品安全情報ネットワーク(FSIN)」が厳しく批判し、2021年9月に平凡社に対して次のように訂正を求めた。
「著書には『なぜ、自国民が食べないものを日本に送るのか』との見出しと記載があるが、米国の農業生産者が日本向けの小麦だけに除草剤を散布しているという事実はない。小麦を枯らすために散布することはあるが、必要な場合のみ残留基準を超えないよう散布するもので、そのような例は全体の3%にも満たない。同書には指摘するのが面倒になるほど数多くの誤りがあるが、少なくとも著者自身が誤りを認めている部分については訂正を求める」
これに対して平凡社は同書の2刷で6カ所の記述を変更した。たとえば「『これはジャップが食べる分だからいいのだ』とアメリカの穀物農家が言っていた、との証言が、アメリカへ研修に行った日本の農家の複数の方から得られている」という記述を「『これは日本輸出用だからいいのだ』とアメリカの農家が研修中の日本の農家に話したと聞いて耳を疑った」など表現を多少変えただけで実質的な訂正になってはいない。
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