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【土門「辛」聞】
肥料メーカーを蛇の生殺し 全農の横着な価格交渉スタイル
- 土門剛
- 第228回 2023年09月25日
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令和5春肥価格交渉は、肥料メーカーにとって業界の浮沈がかかった交渉だった。その前となる令和4秋肥価格交渉(令和5年6月~同10月)では、全農から大幅値下げを飲まされていた。その秋肥製造に使われた原料は、もっとも高かったときに調達したものだ。カナダ産塩化カリが史上最高値だったことは7月号で取り上げた。そのことが価格交渉で反映されると思っていたところ、全農から突きつけられたのは大幅値下げだったことも紹介しておいた。
そして迎えた令和5春肥価格交渉。注目点は値下げ幅だった。指標となる窒素・リン酸・カリをそれぞれ15%含む基準銘柄の高度化成肥料で前期(令和5秋肥)より7.6%の値下げとなった。原料価格が下がっていることが理由。これは蛇の生殺しに近い決着だった。蛇をさんざん痛めつけながら、完全には殺してしまわず、半死半生の状態にしておくことだ。
全農「経過と結果」からは、その生殺しぶりが読みとれる。全農の極めて横着な交渉スタイルが肥料メーカー相手に遺憾なく発揮されている。もっとも印象的なのは、相手を対等なビジネスパートナーとしては扱っていないことだ。下請けメーカー以下の扱いといった方が分かりやすいか。売り手にとっては、たとえお客であっても絶対に相手にしたくないはずだ。
まず着目したのが、全農「経過と結果」の最後の方にある「IV 品目別交渉結果」だ。そこには、メーカー側主張と、全農の主張が両論併記のような形で記され、最後に品目ごとに交渉結果が「妥結内容」として簡潔に記されている。
そして迎えた令和5春肥価格交渉。注目点は値下げ幅だった。指標となる窒素・リン酸・カリをそれぞれ15%含む基準銘柄の高度化成肥料で前期(令和5秋肥)より7.6%の値下げとなった。原料価格が下がっていることが理由。これは蛇の生殺しに近い決着だった。蛇をさんざん痛めつけながら、完全には殺してしまわず、半死半生の状態にしておくことだ。
全農「経過と結果」からは、その生殺しぶりが読みとれる。全農の極めて横着な交渉スタイルが肥料メーカー相手に遺憾なく発揮されている。もっとも印象的なのは、相手を対等なビジネスパートナーとしては扱っていないことだ。下請けメーカー以下の扱いといった方が分かりやすいか。売り手にとっては、たとえお客であっても絶対に相手にしたくないはずだ。
電力費増の価格反映 玄関払いに近いゼロ回答
まず着目したのが、全農「経過と結果」の最後の方にある「IV 品目別交渉結果」だ。そこには、メーカー側主張と、全農の主張が両論併記のような形で記され、最後に品目ごとに交渉結果が「妥結内容」として簡潔に記されている。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
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