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土門「辛」聞

肥料メーカーを蛇の生殺し 全農の横着な価格交渉スタイル

肥料価格交渉の舞台裏を全農側から整理した内部資料を入手した。7月28日付けで県本部などに配布した「令和5肥料年度春肥(令和5年11月~6年5月)価格交渉の経過と結果」(略称「経過と結果」)のことである。その日付から、6月から7月にかけて肥料メーカーが相手の価格交渉が一段落した段階で作成したものらしい。
令和5春肥価格交渉は、肥料メーカーにとって業界の浮沈がかかった交渉だった。その前となる令和4秋肥価格交渉(令和5年6月~同10月)では、全農から大幅値下げを飲まされていた。その秋肥製造に使われた原料は、もっとも高かったときに調達したものだ。カナダ産塩化カリが史上最高値だったことは7月号で取り上げた。そのことが価格交渉で反映されると思っていたところ、全農から突きつけられたのは大幅値下げだったことも紹介しておいた。
そして迎えた令和5春肥価格交渉。注目点は値下げ幅だった。指標となる窒素・リン酸・カリをそれぞれ15%含む基準銘柄の高度化成肥料で前期(令和5秋肥)より7.6%の値下げとなった。原料価格が下がっていることが理由。これは蛇の生殺しに近い決着だった。蛇をさんざん痛めつけながら、完全には殺してしまわず、半死半生の状態にしておくことだ。
全農「経過と結果」からは、その生殺しぶりが読みとれる。全農の極めて横着な交渉スタイルが肥料メーカー相手に遺憾なく発揮されている。もっとも印象的なのは、相手を対等なビジネスパートナーとしては扱っていないことだ。下請けメーカー以下の扱いといった方が分かりやすいか。売り手にとっては、たとえお客であっても絶対に相手にしたくないはずだ。

電力費増の価格反映 玄関払いに近いゼロ回答

まず着目したのが、全農「経過と結果」の最後の方にある「IV 品目別交渉結果」だ。そこには、メーカー側主張と、全農の主張が両論併記のような形で記され、最後に品目ごとに交渉結果が「妥結内容」として簡潔に記されている。

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