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土門「辛」聞

全中が目論む価格転嫁 貧者が富者を助ける“マタイの法則”

日本版エガリム法ともいうべき「価格転嫁」議論の表舞台での初登場は、昨年6月14日の農水大臣記者会見、日本農業新聞記者のこの質問から。
「フィリピン大使館が小売業界団体に対して、自国産のバナナの値上げを要請されました。この要請に対する受け止めをお願いします。もう1点、このフィリピンのバナナ農家だけではなく日本でも同様に、とりわけ野菜などの生鮮品で価格転嫁が難しい状況が課題となっております。適正取引推進ガイドラインを出されたりしていますが、現在の浸透状況と、政府がさらに対応する必要性についてどうお考えかお聞かせください」
全中の振り付けで質問していたことは想像に難くない。それにしても、記者が引き合いに出したフィリピン大使館による同国産バナナの値上げ要請は、噴飯物だ。フィリピン政府による輸出戦略の失敗によりバナナがダブついて価格が低迷。早い話が、その失敗の尻拭いを日本の消費者に求めてきただけのことである。
この間の詳しい事情は、19年7月26日付けNikkeiAsiaの「中国、フィリピンとの“バナナ外交"で日本を出し抜く」が詳しくレポートしている。これに付け加えるとしたら、フィリピン政府が、この種の要請を表明したのは、輸出国トップの日本だけ。同2位の中国には表明しておらず、早い話が、対中輸出の失敗のツケを日本の消費者に求めてきたというだけのことである。

協議会で採決すれば「ノー」が多数

日本版エガリム法の実現に向けての農水省の動きは、かなり急ピッチ。「適正な価格形成に関する協議会」を立ち上げ、8月31日に第1回会合、10月11日に第2回会合を開いたあと、同20日に早くも「飲用牛乳ワーキング・グループ」を立ち上げた。総論段階で出された意見の集約ができていないのに、結論を出すことになるワーキング・グループの立ち上げは、官邸あたりから結論を出すよう急かされているような印象を受けてしまった。

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