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北海道長沼発ヒール・ミヤイの憎まれ口通信

第二次大戦で海軍パイロットだった教官から学んだこと

ラジャー! 管制官とパイロットとのやり取りは必ず管制官が言ったことを復唱して、最後に自機の機体番号を伝える。先輩たちの話を聞くと昭和40年頃は管制官から指示されたら、なんでも「ラジャー」を連発したそうだ。私が「どうしてラジャーしか言わなかったのですか?」と聞いてみた。「だって管制官が言っている英語わからんもん」と返ってきた。えーーである。
現在というか、平成に入って管制官からの呼び出しに「ラジャー」だけ言ったら、復唱するまで何度もコールを受けるだろう。ラジャーは受信したことの了解、ウイルコは指示されたことに対する了解の意味がある。だが、私の500時間、37年の飛行時間で、以上の単語を聞いたのは数回である。まず、ラジャーって言ったら、管制官からなんて返事が返ってくるのか、恐ろしくて使えない。管制から「他機が通り過ぎているので大丈夫ですよ」あたりで使えるだろうか。つまり、重要度が下がった場合には使えるが、実際には自機の機番を言うのが普通だ。ラジャーばかリ使うパイロットはラジャー・パイロットと呼ばれ、イングリッシュができないバカだとさげすまれるのがオチだ。
同じ昭和40年頃に自家用の試験で、釧路の管制から指示された滑走路の180度反対から進入、その後、着陸したが、運輸省の試験官から「気を付けるように」と言われて合格した者もいるらしい。
何度か航空事故が発生(起きた、ではない)したことがある実地試験中は、受験生が機長扱いになるので、すべての責任を受験者が負い、試験官に責任はない、と理解をして受験する。たとえば、試験中に悪天候になると、「I(IFR)計器飛行方式」で管制から逐次指示を受けることになる。ある試験官は、あまり乗りなれていないモーターグライダーを使った試験だったので、早々に切り上げることになった。悪天候は好転しなかったが、幸いにも垂直方向の視程は確保できたので、計器をあまり使わずに、地文航法で試験を受けた女性パイロットの「大丈夫です」の一言で、無事に丘珠(札幌)に戻れた。試験飛行時間はたったの1時間だったが、彼女の素晴らしい技量と知識に感服した。彼女は私よりも1年くらい先輩になるが頭がよかった。

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