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現代の農業と犂
さて、我が国で発達したその短床犂はその後どうしてしまったのであろうか。現在では、我が国では使われることなく消滅してしまっている。中国や韓国の一部で使われているに過ぎない。
第二次大戦後、畜力に代わるものとして小型トラクタ(ティラー)が活躍するようになるが、これに装着して和犁が使われる。畜力で発達した双用犂(リバーシブルプラウ)が幅を利かしたものである。ごく一部であるが現在も残って使われているのを見ることができる。
その後、動力耕うん機が発達し、和犂は次第に姿を消してしまう。耕うん機は大型化し、現代のロータリティラに形を変えている。
大型トラクタの導入に合わせて、和犂がトラクタ用に改良された時期もあるが、この場合は洋犂の反転・鋤込み性にかなうべくもなく、一般に普及することはなかった。やはり、和犂は小動力用のものであったのである。
和犂が、この後復活することはあるのであろうか。動力源に恵まれる現代にあっては、少なくとも我が国に復活するとは思えない。中国、韓国あるいは東南アジアなどの小区画水田地帯で、畜力から動力に移行する場合に息をとどめる程度と思われる。我が国の稲作を支えてきた技術は、今度は洋犂に吸収されて、田畑輪換プラウ、水田プラウとして形を変えて活躍するであろう。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
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