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自分の畑は自分で診断する

自分の畑は自分で診断する!! 土の知識は農業の大切な道具

作物の栽培を職業としている人にとって「土づくり」という言葉は、いろんな場面で、うんざりするほど聞かされてきた。わざとらしい標語も目に入ってきてあきあきするほどである。例えば、農協の肥料袋の裏にも、「豊作のまず手始めは土づくり」と書いてある。
作物の栽培を職業としている人にとって「土づくり」という言葉は、いろんな場面で、うんざりするほど聞かされてきた。わざとらしい標語も目に入ってきてあきあきするほどである。例えば、農協の肥料袋の裏にも、「豊作のまず手始めは土づくり」と書いてある。

この言葉は、農業を取り囲み、世話役にまわっている人にとってはたいへん便利なものである。ところが、肝心な農業経営者にとっては、具体的に自分の田畑でなにをどうすれば「本当の土づくり」になるのかは難問で、自信を持ってその方針を立てることができない。世間ではただ堆肥を入れることだけが「土づくり」だと思わせるような風潮もある。

なぜ、現場での具体的な土壌改良の処方せんを書くのは難しいのだろうか。

我々は、基礎知識として、例えば身近な自然物である水がH2Oであること、空気の主成分が窒素七八%、酸素二〇%であることなど、その正体を多少とも知っている。しかし、農業の大切な“商売道具”であり、同じく自然物である土については、おぼろげにしかその正体を知らない。正体をつかんでいないものに対して、どうして具体的に改良の仕事ができるだろうか。

土壌改良は、実行してすぐ効果の表れるものもあれば、長い期間を要するものも少なくない。その時間的投資、金銭的投資を決断させ、実行へと導いてくれるもの、これこそが土に対する科学的知識だと言える。この知識はあくまでも農業生産に欠かせない道具の一つであり、単なる教養ではない。しかもこの道具は、使えば使うほどその実践的性能が向上するというすばらしいものだ。

我々の先輩たちは、科学的知識などなくても、高い生産性を維持してきたのかもしれない。それは、作物の「顔」を見ることで、自分の農地のクセを読み取っていたからであろう。

もちろん、栽培上の判断においては、経験による勘が七割ぐらいを占めるのは当然だと思う。しかし、人間の勘にも限界があることは言うまでもなく、残りの三割の部分で科学的知識を積極的に導入すべきである。

前回、その手始めとして自分の圃場にたての穴(試坑)をほり、その断面をよく観察すること、「土壌断面調査」を紹介した。

実際に行われただろうか。実行された方は、きっとそこに土の「顔」を見られたと思う。にこやかに笑う「顔」、眉をつり上げ怒っている「顔」、涙を流して悲しんでいる「顔」など、実に切実なまなざしであなたを見つめたことだろう。

今回は、まず土壌断面調査に必要な項目「土色」「土性」「粘性」の説明を加える。そして化学分析を施肥改善、土壌改良へと確実に結びつけるための土のサンプルの取り方について紹介する。 

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