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第二はボトムプラウには劣るとしても反転鋤込み性を加えたことである。ロータリティラの撹上耕と異なって、土壌の還元層は空中にさらされることが多くなり、乾燥して乾土効果が発現される。土壌水分が一五%以下になり、十分に乾燥すると、乾土効果は顕著になって、窒素の吸収力を高めて水稲を増収させると言われている。
にもかかわらず、なぜドライブディスクプラウは普及拡大し、定着するに至らなかったのであろうか。考えるに、下層上は往々にして不良土であることが多い。急激な深耕は一時期土壌を劣化させることになる。これを理解しなければならなかったのである。深耕したら前よりも生育が劣ってしまった、それでは意味がない、止めた、ではあまりにも考えが短絡している。普及すべきものも普及しようがないであろう。
理屈で考えれば分かることである。土壌診断をし、深耕により土壌の化学性が劣ってしまうのであれば、土壌改良材を投人するなどしてそれなりの手当てをすべきなのである。それが経済的負担であれば、少しずつ深耕して、時間で順化するべきである。投資もできない、時間も待てない、では何も進歩はしやしない。
低コスト化か叫ばれており、余計な資材は投入できないのだと囁く人もいるが、これも間違いである。仮に一〇%増収すれば、所得はプラスになるのである。低コスト化か喧伝されるあまり本質を見失っては困る。新技術の投資に消極的になり、一〇%生産費を節約したところで、工夫がないばかりに一〇%減収しだとすれば、所得は低下してしまうことを知るべきである。
また反転・鋤込み耕をしたから乾土効果が期待できると単純に考えるのも困ったことである。湿田のままでは、十分に乾燥させることにはならず、その効果は低いものである。まず暗渠排水などをして、乾田化に手当てをすることによって相乗効果で収量増、品質向上が期待できるのである。
ドライブディスクプラウを使えば増収する。そんな単純な発想ではドライブディスクプラウを使う資格がないと言ってよい。ドライブディスクプラウに責任はなく、使う側の問題であったと言えないことはない。
ドライブディスクプラウは、近年にない発明であると評価できよう。プラウ耕は牽引抵抗が大きく、大型トラクタでなければ無理であるという従来の常識を払拭してしまったことは、すばらしい技術である。
あえて難点を言えば、プラウではない、さりとてハローではない、というあいまいさであろうか。農家がロータリティラではもはや限界としてドライブディスクプラウに飛びついて、顕著な効果が見られなかったのは、利用技術に問題はあるとしてもボトムプラウほどの反転性を示さなかったことが原因と言えないことはない。
中庸の時代にちょうどマッチした機械であるとみられないことはない。しかし農家が過大な期待を寄せていた時には、やはりそれがマイナスに働いていると思われる。スクレーパなどに改良を加え、もっと反転性を高めて、水田耕起でのドライブディスクプラウの復活を期待したいものである。
にもかかわらず、なぜドライブディスクプラウは普及拡大し、定着するに至らなかったのであろうか。考えるに、下層上は往々にして不良土であることが多い。急激な深耕は一時期土壌を劣化させることになる。これを理解しなければならなかったのである。深耕したら前よりも生育が劣ってしまった、それでは意味がない、止めた、ではあまりにも考えが短絡している。普及すべきものも普及しようがないであろう。
理屈で考えれば分かることである。土壌診断をし、深耕により土壌の化学性が劣ってしまうのであれば、土壌改良材を投人するなどしてそれなりの手当てをすべきなのである。それが経済的負担であれば、少しずつ深耕して、時間で順化するべきである。投資もできない、時間も待てない、では何も進歩はしやしない。
低コスト化か叫ばれており、余計な資材は投入できないのだと囁く人もいるが、これも間違いである。仮に一〇%増収すれば、所得はプラスになるのである。低コスト化か喧伝されるあまり本質を見失っては困る。新技術の投資に消極的になり、一〇%生産費を節約したところで、工夫がないばかりに一〇%減収しだとすれば、所得は低下してしまうことを知るべきである。
また反転・鋤込み耕をしたから乾土効果が期待できると単純に考えるのも困ったことである。湿田のままでは、十分に乾燥させることにはならず、その効果は低いものである。まず暗渠排水などをして、乾田化に手当てをすることによって相乗効果で収量増、品質向上が期待できるのである。
ドライブディスクプラウを使えば増収する。そんな単純な発想ではドライブディスクプラウを使う資格がないと言ってよい。ドライブディスクプラウに責任はなく、使う側の問題であったと言えないことはない。
ドライブディスクプラウは、近年にない発明であると評価できよう。プラウ耕は牽引抵抗が大きく、大型トラクタでなければ無理であるという従来の常識を払拭してしまったことは、すばらしい技術である。
あえて難点を言えば、プラウではない、さりとてハローではない、というあいまいさであろうか。農家がロータリティラではもはや限界としてドライブディスクプラウに飛びついて、顕著な効果が見られなかったのは、利用技術に問題はあるとしてもボトムプラウほどの反転性を示さなかったことが原因と言えないことはない。
中庸の時代にちょうどマッチした機械であるとみられないことはない。しかし農家が過大な期待を寄せていた時には、やはりそれがマイナスに働いていると思われる。スクレーパなどに改良を加え、もっと反転性を高めて、水田耕起でのドライブディスクプラウの復活を期待したいものである。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
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