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【特集】
不作のあとに問い直す「田づくり・土づくり」
- 編集部
- 1994年01月01日
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農業者自身の手で行うべき営農レベルの基盤整備、「田づくり」の技術とその技術手段を探る
警告は六月から発せられていた
戦後最大規模の不作に見舞われた昨年、九三年の稲作。その被害は北海道・東北から西日本・九州へとほば日本全国に及んだ。農林水産省の発表によると、全国平均の最終作況指数は七四、収穫量は七八一万tに落ち込み、一〇a当たり収量は三六七kgとなった。
昨年の天候はたいへん異常なものだった。気象庁が昨年暮れにまとめた資料によると、南西諸島を除いてほば全国的に、四月から一〇月、つまり稲のほぼ全生育期間にわたって、平均気温が平年を下回るという異常さである。とくに七月上旬から八月中旬にかけては、北日本から東日本では平均気温が平年より三度C以上も低いという事態が続いた。西日本も一~三度Cも低くなっている。日照不足も同様に続いた。
つまり、昨年の稲作は低温・日照不足が常態化し、稲の生育にとってはもっとも大事な幼穂形成期(出穂の二二~二五日前)と減数分裂期(花粉の形成期・出穂の一五上一〇日前)に、異常に低い気温に見舞われたのである。
たしかに、異常ともいえる低温と日照不足に見舞われた「冷たい夏」であったことが分かる。しかし、果たして天候のせいだけに大不作の原因を求めることができるだろうか?
不順な天候のときほど、きちんと「作を作ってきた」人とそうでない人との差は明瞭に現れる。今回の大不作も、その例外ではないようだ。むしろ、今回のように、長期間にわたって異常に低い気温が続いたときほど、生育期間中の稲を低温から守る手だてを打つことができる。取り返しは、ついたのである。そして、意識ある人はすでに六月の末には異常に気がついて、「今年は、たいへんな冷害になるぞ」と警告を発していたのである。それは、本誌編集部でもたびたび議論されていたことでもあった。
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