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特集

不作のあとに問い直す「田づくり・土づくり」

4 しっかりした畦を高能率に作る
畦塗機

富士トレーラー製作所(株)・ヤンマー農機(株)・(有)鷹岡工業

 畦をきちんと作っているか否かは、深水管理の大前提である。ひと昔前のように、一家総出でたいへんな手間をかけて、畦塗り作業を行っていた時代には、畦からの水漏りはさほど大きな問題ではなかったはずである。むしろ、当時の漏水は、圃場面から下に抜けていく、いわばザル田が多かった。文字どおりの漏水田である。

 だが、前述のように、最近では水田のトラクタ走行によって踏み固められて、透水が悪くなっている田が多くなっている。むしろ、水が漏るとすれば、畦畔から横に抜けていく水の方が軽視できないまでになっているのではないだろうか。いつの間にか、漏水田の意味が変わってきているのではないか。

 手間が確保できなくなって、畦畔の補修は数年に一回しかやらないという人が多い。なかには、圃場整備の際に作ったままで、十数年の間、一度も畦畔を補修したことがないという人も少なくない。

 その結果、畦畔は崩れたり、低くなってしまっている。そして、きちんと畦が作られていないために、雑草も繁茂しやすい条件となっている。

 畦畔からの水漏れで問題となるのは、田面より下の壁面から漏れる水である。この部分はまた、ネズミやモグラ、ザリガニなどによって穴が開きやすいところでもある。これを放置しておくと、文字どおりザル田となってしまい、深水管理はやりたくてもできない田んぼになってしまう。

 きちんとした畦づくりは、深水管理を行う際の基本的な条件整備なのである。

 この畦づくりを大幅に省力化するのが、畦塗機である。現在、トラクタ装着の乾田タイプの畦塗機が(株)冨士トレーラー製作所と、ヤンマー農機(株)から発売されている。ティラ用で乾田タイプが(有)鷹岡工業その他から、湿田タイプがヤンマー農機その他から、四種類がそれぞれ発売されている。

 冨士トレーラーの「ゼロ―2・コンパス17」は、畦面に向き合う形に取り付けられたロータリが元畦に直角に入って、元畦の土を削っていく。そして削り取られた土を、あらかたき板と仕上げたたき板の二段たたき方式で締め固めて畦を作っていく。たたき方式は、クランク式となっている。

 一方、ヤンマー農機の「スーパー畦塗機YSA180」は、バイブレータ方式によって約一tの力で締め固めていく方式。前処理ロータリ(正転)と逆転大径ロータリの二段構えで元畦を削っていく。

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