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【耕すということ】
今、なぜボトムプラウか
- 農学博士 村井信仁
- 第4回 1994年01月01日
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土壌のリフレッシュとは
どんなに頑強な人間であろうとも、二四時間働きづくめ、ということにはならない。一日の仕事を終えれば、家にかえってまず風呂に入り、食事をとり、団らんをして、睡眠をとる。つまりリフレッシして次の仕事に備えるものである。身体へのいたわり、手当てが十分であれば、それだけ次の仕事の能率が上がり、効率がよくなるというものである。このことを忘れてはいけない。
植物を育てる自然の土壌も同じことである。春夏秋冬の繰り返しの中で、秋には枯れ葉を受けてこれを腐食させ、地力に蓄えて春からの植物の活動に備える。土壌は植物とともにあって休み、そして活動するものである。
農業の場合も例外ではない。土壌がはげしく作物を育てるからには、それだけ密なる休息を土壌に与え、次の活動に備えなければならないのである。
土壌の再生化、リフレッシュには何か基本か。それはいうならば、ボトムプラウによる反転鋤込み耕である。なぜなら表層の土壌は空気に触れて風化している。降水によって溶脱も進み、痩せている。残さ物や雑草に覆われて活力を失っているのである。一方、下層は養分に富み、前年に鋤込まれた有機物を腐植させ、活力に満ちている。当然のこととして、上下層入れ替えるのが正しいのである。
撹土耕をどうとらえるか
ロータリティラによる耕起は、いわゆる撹土耕である。砕土も同時に行われ、混合も十分に行われるので、それで足りるのではないかと考えられよう。しかし、上下層の入れ替えでなければ、多くの問題を残すのである。
例えば、わが国の場合、降水量が多く、雑草が生えやすい条件下にある。撹土耕では、雑草に生えて下さいと言わんばかりの好的条件を提供するようなものである。撹土耕では除草に苦しむことになる。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
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