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経営に女性あり

無我夢中で働く世代の希望

 春。朱美さんは、朝四時には畑に立つ。共選のキャベツの切り取り作業だ。七時ころには出荷場へ持って行き、戻ってから食事、子どもたちを学校に送り出すと、再びキャベツ切り。そして夕方の四時には出荷場へ出荷し、そのあとにレタス切りが日没まで。

 夏、朝は少し遅くなって六時だが、午前の収穫作業のあとは、手のかかる菜っぱの荷作りが始まる。これが夜の七~八時ころまで続き、最後の水洗いが終わるのは一〇時近い。さらに値がよければ、量を増やすために、夜なべ仕事をすることもある。

「夕飯は、おばあちゃんか、私。時間のある方が作るし、洗たく機もとにかく回せる時に回すから、夜が多いですね」

 という具合だ。

 春キャベツは共選なので、毎月出荷する量を事前に予約する。このため、この時期だけは、収穫作業も朱美さん夫婦と両親の総出となるが、それ以外は外仕事を若夫婦、家での荷作りを両親と、「なるべく両親に負担をかけないように」配慮している。

 同じ外仕事でも、種まきや、消毒、耕うんなど作業の段どりは夫の辰敏さん、ブロッコリーや葉ものの収穫が朱美さんの役目と、夫婦でおおよその分担が決まつている。

「主人は外仕事専門で、集中して時間がとれるでしよ。私は家事や子どもの面倒とかやりながらできるもの、と分けて、いまの分担が一番いい形。私か種をまいたんじや、問に合わないもの」

 と朱美さんは言う。何しろ、四・五haの畑を一年中回転させている。しかも、ぼぼ二人の労働力なので、とにかく忙しい。

 朱美さんは大型特殊の免許を持っている。しかし、「あえて、乗らない」。その理由は、これ以上、あてにされては困るからだという。

 いまですら「富士見中」といわれるほどの畑(実際は七ヵ所だが)に、愛車のスーパー軽トラで、あっちからこっちへと猛烈な勢いで飛び回っているのだ。

「私、自分でも感心することあるよ、よく働くなぁって……」

 これだけの面積をこなすからか、夫婦は協力はしながらも独立独歩。

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