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土と農業経営のための微生物大百科

微生物ってどんな生き物?

この連載は、本誌が微生物資材の専門メーカーである(株)アラヤの研究開発・営業担当の社員グループに執筆依頼したものである。とかく微生物資材は香具師的な販売あるいはムード的利用に陥りがちなものである。そのために有用な商品が色眼鏡で見られたり、逆にいい加減な商品がもっともらしく売られたりもする。そして利用場面や方法が適切でないために、期待すべき効果が出なかったり、その結果として無駄な出費になることも多い。そこで、微生物資材の農業的利用を考えるうえでまず問われるべき、微生物と土あるいは自然についての科学的な理解――それは土という限りない可能性をもつ“無人工場”の管理者である農業経営者にとっての必須の知識であるとも思う――を深め農業経営への実践的利用の一助としたい。本稿の解説およびイラストは、彼らが研修・営業資料を作成するために、専門研究者および実践家から学んだ微生物についての知識を、自らの手でイラスト化した作品である。また、筆名の「微生物地位向上委員会」とは、若い青年らしい茶目っ気と微生物利用に対する彼らの思いを込めたものである。
物言わぬ働き者たちに光を!


 皆さんは、上の中で微生物が有機物を分解・腐熟させるなどして土づくりに重要な役割を果たしているのはご存じだと思います。しかし彼らが作物の生育や実りを得るために欠かすことのできない重要な働きをしていることについてはあまり知られていません。目には見えない小さな小さな世界ですが、彼らの存在がなければ地球の自然そのものが成り立たないほど重要な存在なのです。そんな彼らは農業の分野では特に重要な役割を果たしているにもかかわらず、その存在はあまり認められていません。そこで私たちはこの誌面を通じて、彼らの性質や性格、農業における役割を紹介しながら、彼らの地位向上のために努力をしていきたいと思います。

 ひと口に、微生物と言ってもその大きさや体のつくりによっていろいろな種類や仲間がいます。どのくらいの種類があるのかというと実のところまだ分りません。

 そこで第一回目の今回は、微生物とはどんな生き物であるのかを知るために、彼ら微生物にとって大切なもの、つまり生きて行くために必要な条件についてお話ししましょう。必要な条件といっても特別なものではありません。私たち人間と同じで、水と適度な温度と食べ物があればいいのです。

 「酸素は必要ないのか?」

 って、疑問があるのではないでしょうか。そこなんですよ微生物を理解するのに結構やっかいなのがこの酸素なんです。これについては後でゆっくり説明します。まずは水と温度と食べ物についてです。

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