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【農業経営者ルポ】
量が多ければ喜ばれる時代はもう終わった
- 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
- 第5回 1994年03月01日
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近藤保さん(56歳・茨城県新治郡千代田村)の経営する四万騎農園は、日本で最大規模の栗苗木生産者である。また、生栗は全量を個人注文の贈答品として通年販売している。生栗は、キロ一八〇〇円から四〇〇〇円という値段を含めて超高級品である。さらに、最高級品質の栗生産者ならではの素材を活かして、夫人が研究開発した渋皮煮、ふくませ煮、そして特許製品のマロンジャムまで、さまざまな栗に関する加工商品開発とそのマーケッティングに独自の足跡を残している人である。約一二haの栗園は、兵藤夫妻と常時五~六人の雇用労力により整然と管理されている。
今回は、兵藤さんの経験を通した農産物のマーケットィングについて教えていただいたことを報告したい。同時に、同氏の言葉は、今後、本当の意味で市場社会の厳しさに直面していかざるを得ない農業に、多くの示唆を与えてくれる。
農業界や農家の考えるマーケッティングを象徴するものが「百村一品」ともいわれる「一村一品運動」だろう。数少ない例外を除いて、村の商品開発はなぜかくも商売にならないのであろうか。兵藤さんは、それには共通したマーケッターたちの誤解があるという。
以下、兵藤さんにいわせると、
まず第一に、安物を作ろうとするから駄目なのだという。兵藤さん曰く、我われのように山の中で農産加工品を作ろうと思ったら、高級品を作るに限る。それもどこにでもある原料で作ろうとしても駄目。ましてや、安い原料を買ってきて作るというのは都市の大資本だからできる仕事なのだ。世界コ局い原料を使って、世界一高い手間を使って小さいロットで作るのだから、安いものができるわけがないともいう。
今回は、兵藤さんの経験を通した農産物のマーケットィングについて教えていただいたことを報告したい。同時に、同氏の言葉は、今後、本当の意味で市場社会の厳しさに直面していかざるを得ない農業に、多くの示唆を与えてくれる。
誤解した農産物マーケッティング
農業界や農家の考えるマーケッティングを象徴するものが「百村一品」ともいわれる「一村一品運動」だろう。数少ない例外を除いて、村の商品開発はなぜかくも商売にならないのであろうか。兵藤さんは、それには共通したマーケッターたちの誤解があるという。
以下、兵藤さんにいわせると、
まず第一に、安物を作ろうとするから駄目なのだという。兵藤さん曰く、我われのように山の中で農産加工品を作ろうと思ったら、高級品を作るに限る。それもどこにでもある原料で作ろうとしても駄目。ましてや、安い原料を買ってきて作るというのは都市の大資本だからできる仕事なのだ。世界コ局い原料を使って、世界一高い手間を使って小さいロットで作るのだから、安いものができるわけがないともいう。
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昆吉則 コンキチノリ
『農業経営者』編集長
農業技術通信社 代表取締役社長
1949年神奈川県生まれ。1984年農業全般をテーマとする編集プロダクション「農業技術通信社」を創業。1993年『農業経営者』創刊。「農業は食べる人のためにある」という理念のもと、農産物のエンドユーザー=消費者のためになる農業技術・商品・経営の情報を発信している。2006年より内閣府規制改革会議農業専門委員。
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