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特集

コントラクター=農作業サービスビジネスの現状と可能性

 普通型コンバインの新たな導入は、年によって変動する作業請負の不安定性を解消し、積極的にその面積を増やすために決めたものではない。あくまでも、これからの農業を取りまく状況を中島さんなりに考えて、自身の農業生産の将来方向をどうもっていくか、経営スタイルの展望をどう描くかを判断した結果だという。

「現在の消費の主流は、私だちと同じ戦後のベビーブーム世代でしょう。その人たちがこれから年をとっていくと、肉は食べない、ソバの消費が伸びるだろう。そして、六年後には米の自由化で、採算の取れない人は米は作らなくなる。そして、間違いなく米の売上は落ちてくるだろう。米に代わる新しい経営の売上を作りたい。一般的には、米から野菜、花にシフトしていくだろうが、私はみんなが行くところには行かない」

 中島さんの経営では、麦のあとに米を作り、あるいは転作大豆を作るなど、完全に田畑輪換が行われている。しかも、五〇a圃場である。大型の普通型コンバインを導入する条件はそろっているといえる。しかし、彼が導入を決めたのは、食生活消費の大きな流れを見越して、現在の麦、大豆に加え、ソバをも組み込んだ水田の高度利用によって、経営をさらに充実させていく。そのための手段として、普通型コンバインを導入したのである。


畦塗り一〇〇m一万円の理由

 中島さんは、意識的に作業請負を拡大して経営の中心とするというより、あくまでも隣近所の人からの頼まれ仕事を引き受けるというかたちで、経営を補完するものとして請負耕作を行っている。

 その点では、請負耕作それ自体を経営の中心とするコントラクター・農作業サービスビジネスとは、動機も規模も大きく異なるようにみえる。だが、彼の作業請負の実際には、これからの農作業サービスビジネスが備えるべき要件を示唆しているように思える。

 それを端的に示すのが、作業料金の設定である。

 田植え、稲刈りのほか、麦作や大豆作のほか、苗の販売や畦づくりなども作業請け負いしている。その畦づくりの料金を例に見てみよう。

 中島さんは、畦塗り機を使って畦塗りを行っている。中島さんは、畦一〇〇m当たり一万円の料金設定をしている。

「機械が六五万円として耐用年数八年で割ると年間約八万円の償却費がかかる。仮に近代化資金の金利を六・五%とすると利息だけで年三万円となる。それに機械修理代が四万円はかかる」

 つまり、畦塗り機の年間維持費だけで一五万円はかかる計算である。父親の幸治さんと中島さんの二人の労働力で一シーズンに行える畦塗り作業は、彼の経営の現状では、頑張っても五ha以上はできないという。したがって、この経費を五haで回収する。それが、まず料金の第一の根拠。

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