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特集

コントラクター=農作業サービスビジネスの現状と可能性

 正確な仕事は、代かきの技術についてもいえるようだ。彼は、耕うん作業はすべて八連のパワーディスクプラウで行っている。しかもワンウェイのパワーディスクは口開けに技術を要し、それを戻すときに山ができることから、圃場によってはツーウェイのものも使う。

 反転すき込み性の高さはボトムプラウに比べて劣るが、「すき込む時にスピードを出さない」ようにすれば、ボトムプラウと変わらないすき込みができると、中島さんはいう。彼は、五〇aを耕すのに、三時間近くもかけているというのだ。耕深は二五回。しかも、丘びき作業ができるのが、プラウと違うメリットだという。

 耕幅二・四mの最大級のロータリを使って代かきを行う。トラクタはファーガソンの六六馬力。償却をとっくに過ぎた PTO回転が五四〇匹の一つしかない古いトラクタである。ちなみに、中島さんは国産車四台、外国車二台の合計六台を持っているが、いずれも償却は終わって、それぞれを専用管理作業機として使っている。

 ハローだと、沖積地の重粘土質では強度がなく、深さも足りない。ロータリだと深さも十分で、麦あとの代かきでも三回で、浮きワラの心配もなく、きちんとした代かきができる。もちろん、練り固めの心配もないという。


形がない仕事を形として作る

 昨年、中島さんは五haの大豆作から出てくる一・二tのクズ大豆を稲の施肥に使った。そのために昨年の肥料代はゼロだったという。「捨てられるものを使って利益が土からないか」と思って三年ほど前から始めた技術である。そして、昨年の稲の除草剤は、わずか一〇a一・五kgですんだという。

 この経験から、「収量を取るよりも、コストをかけない『取れただけの米』を作れないか」と考えている。

「これからの道は二つしかない。一つは農業をやめて会社勤めをするか、二つは農業を続けるか。その問いに直面した人にしかチャンスはない。そこにしか打開策はない。形がないものを仕事として、新しく形として作ることしかない」

 一〇年の会社勤めの後、就農。当時二haの経営規模から、当初は規模の拡大と技術の向上をめざしてきたが、現在は、加工流通の実現に当面していると、自分の経営を見ている。その第一歩がいソバの栽培である。

 そして、八月中旬に収穫する稲の超早期栽培を取り入れ、パワーディスクよりスピードが速く完全な反転すき込み耕が行えるボトムプラウを使って稲ワラを処理し、その後にソバを植え付けることが、当面の希望だという。

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