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自分の畑は自分で診断する

これなら分かる「土と肥料」の実践講座-土の働き土はどうやって肥料を吸着するのか

土の保肥力
肥料を与えた直後でもなぜ濃度障害が起きないのか?


 前回の第4回では、土の正体を「土のでき方」から調べてみた。上の正体が分かったところで、いよいよ土がどのような働きをするのか、その機能を見ていこう。その第一は、「土の保肥」という現象である。

 水田に例をとってみる。元肥をどこか一定の面積を施用しないで、代かき、田植えと順次進め、生育を見ていると、その元肥を施さなかった場所は、肥料不足を起こしてしまい、なおかつその境が明瞭であることに驚かされる(図1)。

 この現象をよく考えてみよう。施用した肥料はすぐ水に溶けるものであるから、少しの面積がふってなくても田に水を入れ代かきして中の水が動けば、当然溶けた肥料も移動して全体に均一になってしまうと考えられなくもない。しかし、実際は違う。施した所からほとんど移動していないのだ。

 さらに、肥料濃度で考えても、元肥量を全施用量の半分ぐらいだと仮定すると、田植え後、肥料の濃度障害が起きても不思議ではない。さらに畑でもそうだが、肥料の施用される量と、生育中の吸収量のカーブは逆になっている場合が多いにもかかわらず、濃度障害は起きない (図2)。

 この矛盾はおそらく、土が持っている何らかの機能によって解決されているはずである。水が出入りしている水田の場合は、なおさらそうではないだろうか?土が持つ、濃度障害を起こさせない機能、それが上の「保肥力」である。


保肥力のメカニズム
土のコロイド(マイナス荷電)が肥料成分(プラスイオン)を引きつける


 この重要な上の機能「保肥力」を担っているのが、前回の第4回で説明した粘土鉱物と腐植という上の二つの主役である。まずガラス容器に水を入れ、それに上を加えてよくかき回すと、泥水ができる。これをそのままにしておくと、重い粒子から順に沈みはじめる、さらに観察していると、かなりの粒子が沈んでしまっても、いつまでも水の中に漂って沈まないものがある(写真参照)。この状態は化学でいう「分散」であり、この漂っている粒子そのものを「コロイド粒子」という。この場合、土の粒子なので、「土のコロイド」と呼んでいる。

 コロイドという言葉は、物の大きさというより小ささを指すことばで、分子や原子は一億分の一cm程度だが、コロイドとは一〇万分の五から一〇〇〇万分の一cm程度の大きさのものである(図3)。この大きさのものは、これより大きいものや小さいものとは化学的性質が違い、特有の性質を示す。

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