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経営に女性あり

実務派秘書に徹する

 森田洋蘭園で使っているコンピュータソフトは、自分の経営に合うように康雄さんが仲間四人とともに開発したもの。このソフトを販売するオーキッドシステムという別会社も作った。二年前、最初のソフトを改良し、販売管理、仕入れ管理に加えて、財務管理まで連動したソフトを開発・導入している。

 幸子 一昨年、コンピュータシステムがすっかり変わってしまって――。前の方がずっと簡単でしたから、何でこんなに難しいのやんなきやなんないの、もう四〇歳になるんだからコンピュータについていけないって、文句ばっかり言ってました。でも、軌道に乗れば、新しいソフトに替えてよかった。

 コンピュータじゃないとできないチェックがいろいろできて、それだけでパソコンがもう一台買えるくらいの利益は生まれましたね。

 いまでは、経営の話を康雄さんとしなくても、幸子さんが人力した画面を見れば、一目瞭然に康雄さんは経営状態を理解できる。


辞めていったパートさんは一人もなし


 幸子 働いている実感は、現場の方がありましたね。農作業を一緒にやってる方が。ただ、いま任されているのは事務管理だけど、これがコケたらしょうがないことでしよ。請求書が来れば、すぐにお金を払う。期日を守らない人には、次のリストを出さないとか、商売やっていくうえで、基本的なことだと思いますけど、これを忠実に守っていかないと主人の信用にかかわってきますからね。

 うちはパートナーというより、私は主人の秘書役。主人がいて、やっぱり私は従ですね。

 事務いっさいの取り仕切りと同時に幸子さんは人事の面でも気を配る。取材中、三時の休憩時間になると、取材を中断して、従業員のためにお茶の用意。「三時のお茶番は私の仕事」と幸子さんは屈託がない。

 幸子 うちの自慢は、パートさんで辞めた人がいないこと。増えるだけで、辞めていかない。それはかなり自慢できるんじやないかな。パート間でトラブルがないように作業場の配置を考えたり、人の組み合わせを考えたり、給料も不満が出る前に上げたり。

 チラシではなく、口こみで気心の知れた人、PTAでつき合った人とか、あの人ならっていう人に声をかけるんです。

 幸子さんは昨年までPTAの副会長をしていた。いまは、会長だった人がパートで来ていたりする。

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