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土と農業経営のための微生物大百科

根の養分吸収と生長を助ける微生物

高密度に培養された微生物資材を利用する技術が、いま注目を集めている。微生物資材の農業利用は、従来の我われの常識を書き換える可能性すら持っている。その適切な利用技術のあり方が、考えられてしかるべきだろう。
 高密度に培養された微生物資材を利用する技術が、いま注目を集めている。微生物資材の農業利用は、従来の我われの常識を書き換える可能性すら持っている。その適切な利用技術のあり方が、考えられてしかるべきだろう。

 この連載は、微生物資材の専門メーカーである(株)アラヤ(石川県小松市平面町へ115 TEl.0761・24・5000)の研究開発・営業担当の社員グループが執筆するものである。(編集部)

 みなさん、こんにちは。このコーナーもいよいよ三回目に入り、少しは微生物のことが理解していただけるようになったでしょうか? 今回から、かれら微生物が作物とどのようにかかわっているのかを紹介します。


微生物は根が出したものを取り込み根に栄養分を与える


 土は、かれらの住みかです。その土の中で、作物の根はぐんぐん生長していきます。この根の生長にとって、微生物は欠かすことができません。それでは、いったいどんな人間関係、おっと、微生物・根関係があるのか、ちょっとのぞいてみましょう。

 作物の根(根毛)は、土の中から水や酸素、養分などを吸収することで生長します。そして吸収するだけではなく、いろいろなものを出してもいます。微生物は、この出される物質(実はほとんどが作物の排出物なのですが)が大好きなのです。

 微生物は、この根から出された物質を取り込む代わりに、作物が生長に必要なホルモンや、根だけでは吸収できない栄養分を与えてやるのです。

 しかも、この根から排出された物質は、微生物によって分解され、新たに作物の生育に必要な栄養分となって根に吸収されています。

 作物にとって、いわば自給自足のこの栄養分は、生育のあいだずーっと安定して施され、しかも側状施肥などとは比べものにならないほど、根に近いところにあるのです。ですから、根は微生物の多いところへ多いところへと伸びていき、逆に微生物は根のあるところへと集まってきます。


微生物は「土に貯金をする」


 微生物には、いろいろな種類と仲間がいますが、土の中にそれらがたくさんいればいるほど、作物の根は伸びやすいし、生長もしやすいのです。

 そればかりか、天候もよく肥料や養分がたくさんある、ちょうど“バブル全盛期”のようなときには、微生物同士のあいだはけっこう仲が悪いのですが、昨年のような天候不順で景気の悪いときには、微生物はせっせと養分を与えてくれるのです。

 つまり、作物にとって微生物とは、いざという困ったときに役に立つ“保険”のような役割も果たすのです。

 もう勘のいい方ならお気づきですね。そう、よく「土に貯金をする」といいますが、こういうことだったのですね。

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