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農業経営者ルポ

思いつづけることを止めれば、可能性もなくなる

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第7回 1994年09月01日

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僕はいただいた本を読みながら、真顔で香りをかいでみた。もしかしたら香料入りの印刷インクを使っているのでは、と思ったからだ。しかし、それは本から香る筆者のラベンダーへの思いの深さだった。
年間五〇万人の「花人」


 僕はいただいた本を読みながら、真顔で香りをかいでみた。もしかしたら香料入りの印刷インクを使っているのでは、と思ったからだ。しかし、それは本から香る筆者のラベンダーへの思いの深さだった。

 『わたしのラベンダー物語』(誠文堂新光社刊・一九〇〇円)の筆者である富田忠雄さんを訪ねたのは、七月のラベンダーのシーズンをとうに過ぎた八月末だった。それでも、「花人の舎」と名づけられたメインホールのカフェテラスでラベンダーカルピスのサービスを受けながら富田さんのお話を伺っている間も、富田さんと気づいて話しかけてくる若い女性やバイクツーリング中の青年たちなど、観光客の足は途絶えない。
 年間五〇万人の観光客を集めるファーム富田は、中富良野町きっての観光スポットである。語感はそぐわないが、あえていうならファーム富田は、花に遊ぶ「観光農園」である。

 ラベンダーに憧れ、引き寄せられるように訪ねてくる人びとを、富田さんは「花人」と呼んでいる。しかし、そうした花人たちから、かぐわしく咲き乱れる花とハープの畑を楽しんでもらうことで、お金を取っているわけではない。ファーム富田への入場は無料なのだ。

 ファーム富田の収入は、ポプリやサシェ(匂い袋)であり、香水や石鹸、シャンプー、ハーブ、ハーブティー、その他ハーブでの草木染のアパレル類を含め、実に一七〇種類以上の文字通りファーム富田オリジナルのグッズの販売による。すべてファーム富田で製造・加工したものである。レストランの収入もある。

 最近では、それを売り物としたツアーを含め、一流の調香師を講師にした調香教室や、ポプリ、ドライフラワー、染色の教室、野外ステージやホールでのコンサートなども開く。また、富田さんは、ラベンダー以外にも昭和四五年以来、ホビー、宿根性カスミソウなどのさまざまな花の採種家としても有名である。

 現在、生産・加工部門の(有)ファーム富田と販売部門の(有)富田プランニングを合計した売上は四億円(スタッフは合わせて一四人)。

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