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耕すということは、作物に最適の生育環境条件を提供することである。
たとえ、これまでの連載の中で紹介してきたような、土質に合った耕起法を励行したとしても、砕土・整地に手抜きがあったのでは、その目的に達しない。せっかくの耕す効果も半減しかねないのである。砕土・整地作業が、播種床造成の仕上げ工程であるからには、土質や耕起法に合わせて最善の砕土・整地法を選択しなければならない。
砕土・整地の基本は、適度に鎮圧され て保水性が良好であること、作土の表層二分の一は二回以下の土塊が七〇%程度を占めるように砕土され、種子や苗の居住性を確保することである。
この基本を無視してはならない。
畜力時代の畑地の砕上、整地法を思い出してみよう。当初は、方形ハローで粗砕土をし、除草ハローで仕上げをするのが一般的であった。ボトムプラウによる耕起深が九cm程度の時代だったから、これで十分であった。
やがて耕馬の改良が進み、深耕が奨励されるようになって、より砕土を深くし、鎮圧を加える必要性が生じ、デスクハローが普及する。デスクハローは切り割り、反転・放てきで砕土すると同時に、中下層を鎮圧することに効果的なのである。
当時のデスクハローは乗用型であったことが人気を博した理由でもある。耕起して軟らかくなったところを歩行するのは、作業者にとって大きな労働負担である。乗用化による軽労働化は評判となってブームを呼び、さまざまなデスクハローが開発されるに至った。
デスクハローが定着したころから一般営農にトラクタが導入される。昭和三〇年代のことである。トラクタはけん引力に恵まれていることから、もっぱら賃耕に活躍し、土地の生産性を高めることに貢献する。
トラクタ時代を迎えてからの砕土・整地法は、デスクハローによる粗砕土に、スパイクツースハローで仕上げをするものであった。この砕土・整地法は、播種造成技術としては理屈に合っているが、土質によっては十分に砕土されない難点があった。
たとえ、これまでの連載の中で紹介してきたような、土質に合った耕起法を励行したとしても、砕土・整地に手抜きがあったのでは、その目的に達しない。せっかくの耕す効果も半減しかねないのである。砕土・整地作業が、播種床造成の仕上げ工程であるからには、土質や耕起法に合わせて最善の砕土・整地法を選択しなければならない。
砕土・整地の基本は、適度に鎮圧され て保水性が良好であること、作土の表層二分の一は二回以下の土塊が七〇%程度を占めるように砕土され、種子や苗の居住性を確保することである。
この基本を無視してはならない。
畜力時代の砕土・整地
畜力時代の畑地の砕上、整地法を思い出してみよう。当初は、方形ハローで粗砕土をし、除草ハローで仕上げをするのが一般的であった。ボトムプラウによる耕起深が九cm程度の時代だったから、これで十分であった。
やがて耕馬の改良が進み、深耕が奨励されるようになって、より砕土を深くし、鎮圧を加える必要性が生じ、デスクハローが普及する。デスクハローは切り割り、反転・放てきで砕土すると同時に、中下層を鎮圧することに効果的なのである。
当時のデスクハローは乗用型であったことが人気を博した理由でもある。耕起して軟らかくなったところを歩行するのは、作業者にとって大きな労働負担である。乗用化による軽労働化は評判となってブームを呼び、さまざまなデスクハローが開発されるに至った。
デスクハローが定着したころから一般営農にトラクタが導入される。昭和三〇年代のことである。トラクタはけん引力に恵まれていることから、もっぱら賃耕に活躍し、土地の生産性を高めることに貢献する。
トラクタ時代を迎えてからの砕土・整地法は、デスクハローによる粗砕土に、スパイクツースハローで仕上げをするものであった。この砕土・整地法は、播種造成技術としては理屈に合っているが、土質によっては十分に砕土されない難点があった。
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村井信仁
農学博士
1932年福島県生まれ。55年帯広畜産大学卒。山田トンボ農機(株)、北農機(株)を経て、67年道立中央農業試験場農業機械科長、71年道立十勝農業試験場農業機械科長、85年道立中央農業試験場農業機械部長。89年(社)北海道農業機械工業会専務理事、2000年退任。現在、村井農場経営。著書に『耕うん機械と土作りの科学』など。
耕すということ
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