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視点

根を張り続けていく覚悟

4年前から経営を父から引き継ぎ、兄弟3人で農園を営んでいる珍しさもあって、新聞やテレビなどのメディアに何度か取り上げられた。まだ経験も浅く試行錯誤をしながらの段階であったので、出ていいものだろうかと迷ったこともある。しかし自分たちが成長していく過程、その生の姿を知ってもらうことにも何かしらの意味があるのではないかと考えるようになった。
 4年前から経営を父から引き継ぎ、兄弟3人で農園を営んでいる珍しさもあって、新聞やテレビなどのメディアに何度か取り上げられた。まだ経験も浅く試行錯誤をしながらの段階であったので、出ていいものだろうかと迷ったこともある。しかし自分たちが成長していく過程、その生の姿を知ってもらうことにも何かしらの意味があるのではないかと考えるようになった。

実際、メディアに出てから出荷している直売所での反応などを見ると、お客様の「応援したい」という気持ちがひしひしと伝わってきた。父の頃と経営方針を変え、不安もあった自分たちにとって、とても励みになったのを覚えている。

最終的は商品との教え

 折しも“農業ブーム”である。上京していろんな方に話を聞くとなるほどと思うが、いざ地元に戻ってみると、ブームの恩恵あるいは悪影響を感じることは、実はまだない。地方ゆえに空気が違うという側面もあるが、調子に乗りがちな自分だけに内心で「浮かれないようにしなければ」とブレーキをかけているからだろうか。

 同じ地元でレンコン生産のトップランナーでもあり、ひかりれんこんという名で知られるレンコンを生産・販売する高須賢一氏からはこのようなことを言われた。「お前らは3人だからメディアに注目してもらえる。だけど、最終的に選ばれるのは品物でしかないし、それがダメだったら必ず引き落とされる」

 常々、肝に銘じておいている。


緊張感があるから面白い

 レンコンは食卓の脇役中の脇役である。ほかの農作物よりも商品化されたものやレシピ提案も少ない。ニッチ商品であるだけに、大きな可能性がある。だが、市場相場も安定しているために、産地のレンコン生産者は相応の努力はせずとも、食べていける状況にある。生食用に限っていえば、輸入品との競争もなく、市場に出回っているものの多くは国産である。

 つまり、レンコンの場合は効率を考えれば旧来の農業経営でも十分に通用する。でも、それでは緊張感に欠ける。やはり自分たちは品質で勝負し、先輩方と切磋琢磨していきたい。たとえ利益が同じでも、ガソリン代がかかったとしても、商品価値を認めてくれるお客様がいる場所に運んで売ってくることを続けていく。

 ライバルが減り続けるこれから10年が勝負になる。この間にどれだけ成長できるか。レンコン生産者初のJGAPを取得し、法人化の準備も整えつつある。今は静かに根を張る時期だろうが、レンコン同様、やがては花を咲かせ大きな実りを得たい。

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