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新・農業経営者ルポ

人々の支えがあって実現した新規就農、でも・・・・・・

 菅野は、シルバー人材センターから紹介されてきた人数名、それに研修生としてきた人々に作業指示を与え管理する立場にいる。菅野は埼玉県蓮田市の出身でつぶつぶ農園に来て4年目になる。これまでも沢山の人々が彼らのところに農業をやりたいと言って訪ねてきたが、残っているのは彼女だけだ。

 敏夫たちは菅野が話していた体験に共感したという。

 菅野が農業をやりたいと行政に相談に行ったら、担当者から「農家の嫁になれば?」と言われた。その新規就農者に対する無理解あるいは、暮らし方としての農業しかないと思っている農家や農業関係者しかいないことが悔しかった。彼らが、職業として農業を選ぼうとしていることを理解していないからで、それは新規就農者だけでなく多くの農業経営者たちが背負っている時代の制約と同じものなのではないか。考えてみれば今時、職業の選択が婚姻関係に縛られているのは、歌舞伎と農業くらいのものではないだろうか。そして、それが農業や農村を衰退させる原因のひとつになっているのだから馬鹿馬鹿しい。

「つぶつぶ農園・和菜」という屋号もそんな思いも反映している。その命名は美穂子のアイデア。美穂子が穀粒食にこだわるマクロビオティックの本を読んでいたこともあり、粒(つぶ)や地元野菜にこだわる農業をと考えた。さらに、個人個人がしっかりしていこうという意味でも「つぶつぶ」なのだ。和菜は日本の野菜という意味。美穂子が営業し、俊夫が現場そして全体を見通す。まだ、法人化はしていないが、農場の営業窓口としてのつぶつぶ農園の代表は美穂子だ。敏夫は、自分が地域に根ざす活動をしなければ、と思っている。困った人を手伝う。それでこそ、新規就農者としての自分たちが地域に認められると考えるからだ。
次代のために農地を確保

 敏夫は数年前、ついに借りてるハウス団地の土地の一部50aを買った。地権者に頼まれてのことだった。資金のない彼らには大きな投資であったが、長期的には借地を広げていくことにするとしても、それは地域の納得を得るためにも必要なことだと考えた。

現在の経営耕地は施設が60a、畑が約6haである。最初の数年はせいぜい1ha程度の畑を借りて経営をしていたが、今は積極的に農地を借りるようにしている。それは、経営としての売上確保のためというより、自分たちが農地を確保して、次に来る者、そして地域の農業を守るために必要だと考えるからだ。 農家の高齢化は進んでいる。そうした農家の農地は耕作放棄されていく。それを見越して、冬の間だけその土地を県外から借りに来る農業生産法人も多い。彼らは農地を使いまわすだけで、作期が終わればそれでおしまい。だから土作りに力を入れない。新規就農者であれ、農業を職業として選択し、地域でこそ農業を発展させようという者がいるのに、地元農家たちがそんな借り手に借地の条件がよいからといって農地を提供してしまう。それでよいのだろうか。

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