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【自分の畑は自分で診断する】
これなら分かる「土と肥料」の実践講座-リン酸肥料リン酸施肥の間違いとその原因=燐酸過剰の弊害
- 農業コンサルタント 関祐二
- 第7回 1994年09月01日
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天ぷらを世に送り出した土
私たちが常日ごろ何げなく食べている天ぷらという料理。これが一般のお座敷料理として定着したのは、一八〇〇年ごろというから、江戸の末期のことだ。
それまで、江戸の町から少し離れた近郊農村地帯は、原野が開墾されたものの、やせた火山灰土のため作物の栽培は困難をきわめた。
ところが、江戸の人口が増え、その人糞尿が大八車にのって、やせた開墾畑に還元され始めると、土壌改良が少しずつ進み始める。 その結果、熟畑化した畑から、天ぷら粉の原料となる小麦、天ぷら油を取るためのナタネやゴマ、そして揚げ材料としての各種野菜の生産が盛んに行われるようになる。
さらに、北関東の比較的やせた土でも生産可能だった大豆は、銚子でしょう油に加工され、天つゆに使われたのだろう。そしてこの時期、江戸沿岸の漁業の進歩によって、江戸前の魚が豊富に出回るようになったことも一因となり、かくして、庶民が天ぷらを食べられるようになったのだという。
身近な食べもの一つを考えてみても、そこには、土を作ってきた人の歴史があるという話である。ぜひ、私たちも先人の知恵と努力に思いをいたし、科学的な知恵を駆使して、安定した土をこしらえていきたいものである。
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関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
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