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これなら分かる「土と肥料」の実践講座-リン酸肥料リン酸施肥の間違いとその原因=燐酸過剰の弊害

【リン酸固定のメカニズム】

 このリン酸固定のメカニズムは、土のコロイドというより、土のコロイド核にその原因がある。コロイド核は、粘土鉱物と腐植で形成されている。そして粘土鉱物はケイ酸とアルミニウムが結晶化したものであったが(第4回)、鉄も一部骨格をなしている。

 アルミニウムと鉄は、土のpHが酸性に傾くと土壌溶液中に溶けてくる。これを化学的にアルミニウムと鉄が活性化するという。活性化して土壌溶液中に溶け出してきたアルミニウムと鉄は、リン酸イオンと強く結合してしまい、そのためにリン酸がなかなか作物に吸収されないのである。とくに、土壌中に有機物が不足していると、この傾向は著しく現われる。

 このアルミニウムと結合したリン酸をリン酸アルミニウムといい、鉄と結合したものをリン酸鉄という。作物が利用できると考えられているのは、リン酸と石灰が弱く結びついた形態のリン酸石灰で、これが可給態のリン酸分である。

 土の中のリン酸の固定=不可給化は、例えば、私たちがハイキングに缶詰を持っていったものの、食べようと思ったら缶切りがない、という状態といえる。つまり、たとえ食べものが存在していても、それを食べることができないのだ。


【リン酸吸収係数】

 土がリン酸を固定して不可給化してしまうことを、とくに土のリン酸吸収といい、土壌分析ではリン酸吸収係数として表している。これは、土に一定量のリン酸液を与え、土壌一〇〇gが吸収したリン酸の量をmgで表したものである。この係数が大きい土ほど、リン酸成分を不可給化してしまう力が強い。

 日本の耕地のリン酸吸収係数の平均は約七〇〇だが、日本の畑地に多く分布する火山灰土は二〇〇〇以上のリン酸吸収係数を示す。昔から農家のあいだで、肥料ばかりくって、作物のできない土と嫌われたゆえんである。逆に砂土では三〇〇くらいしかなく、ややもするとたいへんなリン酸過剰の作土にしてしまうことも少なくない。

 火山灰土が高いリン酸吸収係数を示す理由は、コロイド核が高い比率でアルミニウムを含むからだ。そして、このアルミニウムは、わずかの酸性化によって活性化してリン酸と強く結合してしまう。そのため、火山灰土のpH管理は、わずかの酸性化も許されないのである。

 一方の砂土は、粘土鉱物そのものを含む比率が小さいために、リン酸吸収係数が小さいのである。

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