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では、逆に太陽光が弱い場合の葉はどうなるのでしょうか。まず、このような環境が観察できるのは、葉と葉が重なり直射日光が当たらなくなっているところや遮光ネットで光を弱くしているところなどです。こういった環境にある葉をみると、全体的に緑色が濃く、一部分だけ色が濃くなるといった変化の仕方ではありません。クチクラ層によってロウ状になりツルツルしているはずの葉の表面は、柔らかな手触りが感じられるほどに変化し、葉そのものに厚みがなく弱々しさも感じられます。実際、葉の表面のクチクラ層と葉肉が薄くなっているのです。
このような現象が起こるのは、最表面にあるクチクラ層に侵入する光が少なくなることで光合成量そのものが少なくなること、葉の構造が厚い場合はガス交換そのものがうまく機能しなくなることが関係していると思われます。これはとても重要な現象で、ガス交換の働きをする葉裏の気孔の数が少なくなっていることを示しています。葉がこのような適応を見せるのは、日本の梅雨期にさらされる作物の大きな特徴でもあります。
梅雨に対して根の方はどのような変化をするのでしょう。降雨による土壌水分過多で土中にある根の呼吸が妨げられるため、当然、酸欠状態になります。しかし、ここで重要なのは根が水の中に浸るということです。そのような状態にある梅雨期の根は、水耕栽培時の根と同じような状況に置かれることになります。その形状も、細かな吸収根がほとんどない、まるでのっぺらぼうのような根になってしまいます。鉢植え時の鉢底にいつも水分がたくさんある状態の根にも同様のことがいえます。特に、今年のような長い梅雨の場合は、根が土中の広い範囲に張り巡らされることありません。狭い範囲にだけ根がある吸収根の未発達な根になるということです。ちなみに、水耕タイプの根の太さは通常より太くなりますが、それは根の最表面の組織が厚くなることで、その中にある皮層という空洞の組織が大きく発達してマカロニ状になるからです。そうして根は地上部からの空気の通導を図るのです。
葉と根の状態を変化させて雨や曇りが続く梅雨を過ごしていた作物ですが、梅雨明け後、急に真夏の暑い日射と温度の中にさらされるとどのようなことが起きるでしょう。いうまでもなく、それまでと全く逆の環境変化に対応できるわけはありません。地上部の葉はしおれ、地下部の根は機能が働かないという現象が起こります。これが日本の梅雨明け後に特有の干ばつ害です。不作は梅雨期だけでなく梅雨明け後も続くことになるのです。今年の場合は、ジャガイモやニンジンなどの根ものはこうなる以前に腐敗したものもあるようですが、こうしたプロセスを経て地中で酸欠死した作物もあるはずです。
このような現象が起こるのは、最表面にあるクチクラ層に侵入する光が少なくなることで光合成量そのものが少なくなること、葉の構造が厚い場合はガス交換そのものがうまく機能しなくなることが関係していると思われます。これはとても重要な現象で、ガス交換の働きをする葉裏の気孔の数が少なくなっていることを示しています。葉がこのような適応を見せるのは、日本の梅雨期にさらされる作物の大きな特徴でもあります。
梅雨に対して根の方はどのような変化をするのでしょう。降雨による土壌水分過多で土中にある根の呼吸が妨げられるため、当然、酸欠状態になります。しかし、ここで重要なのは根が水の中に浸るということです。そのような状態にある梅雨期の根は、水耕栽培時の根と同じような状況に置かれることになります。その形状も、細かな吸収根がほとんどない、まるでのっぺらぼうのような根になってしまいます。鉢植え時の鉢底にいつも水分がたくさんある状態の根にも同様のことがいえます。特に、今年のような長い梅雨の場合は、根が土中の広い範囲に張り巡らされることありません。狭い範囲にだけ根がある吸収根の未発達な根になるということです。ちなみに、水耕タイプの根の太さは通常より太くなりますが、それは根の最表面の組織が厚くなることで、その中にある皮層という空洞の組織が大きく発達してマカロニ状になるからです。そうして根は地上部からの空気の通導を図るのです。
梅雨明け後の干ばつ害 窒素とカリの減肥で対策
葉と根の状態を変化させて雨や曇りが続く梅雨を過ごしていた作物ですが、梅雨明け後、急に真夏の暑い日射と温度の中にさらされるとどのようなことが起きるでしょう。いうまでもなく、それまでと全く逆の環境変化に対応できるわけはありません。地上部の葉はしおれ、地下部の根は機能が働かないという現象が起こります。これが日本の梅雨明け後に特有の干ばつ害です。不作は梅雨期だけでなく梅雨明け後も続くことになるのです。今年の場合は、ジャガイモやニンジンなどの根ものはこうなる以前に腐敗したものもあるようですが、こうしたプロセスを経て地中で酸欠死した作物もあるはずです。
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関祐二 セキユウジ
農業コンサルタント
1953年静岡県生まれ。東京農業大学において実践的な土壌学にふれる。75年より農業を営む。営農を続ける中、実際の農業の現場において土壌・肥料の知識がいかに不足しているかを知り、民間にも実践的な農業技術を伝播すべく、84年より土壌・肥料を中心とした農業コンサルタントを始める。 〒421-0411静岡県牧之原市坂口92 電話番号0548-29-0215
過剰の対策、欠乏の克服
「土壌診断」という言葉は農業界に浸透し、多くの人がその必要性を感じているものの、調査は専門機関に委ね、その処方に基づいた施肥を行なってきたのが現状だ。ここでは現場で農業者が主体となって行なう土壌調査と診断方法について紹介していく。
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