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ミニトマト 安定した需要と単価で生産増。役割分担進むが全体数量は減少
【概況】東京市場のミニトマトは、03年対08年で入荷量が13%増えたが、同じ時期にトマトは8%減った。そのためトマト全体に占めるミニの割合は、11%から14%に増えている。減ったトマトも増えたミニも、平均単価は高騰したり暴落したりしていない。トマトが春から夏にはっきりしたピークがあるのに対し、ミニはピークの山がゆるやかで、年間平均化の傾向にある。トマトはピーク時に単価が下がるが、ミニは変わらない。
【背景】トマトとミニは、はっきり棲み分けていた感があったが、今やミニは大玉のトマトに代替してきたように見える。作業が楽で、年間単価が安定しているために生産者がミニへの転換を進める、小売店も単価の高いミニを歓迎する、食味のいいミニが増えて消費者も支持する、といった三方得の背景がある。中玉のミディ系が増えて、大玉トマトからの鞍替えが容易になったこともある。しかし03年と08年の対比では、トマト全体は6%の入荷減になった。
【今後の対応】“大御所”だった大玉のトマトに陰りが見え始め、アイテムが揃った“新進気鋭”のミニが、個性を活かして準主役を張ってきたかのようだ。もともとトマトは、販売金額においてはダントツのトップだったから、陰りというよりは役割分担してきたといったほうがいいだろう。高糖度系を中心に、今後もミニの増勢は続きそうだ。ミニに転換している分、生産側は手取りを増やすだろうが、トマト全体の消費量が落ちていることに危機感を持ちたい。
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小林 彰一 コバヤシショウイチ
(株)農経企画情報センター
代表取締役
青果物など農産物流通専門のジャーナリスト。(株)農経企画情報センター代表取締役。「農経マーケティング・システムズ」を主宰、オピニオン情報紙『新感性』を発行。著書に、『ドキュメント青果物市場』、『日本を襲う外国青果物』、『レポート青果物の市場外流通』、『野菜のおいしさランキング』などがあるほか、生産、流通関係紙誌での執筆多数。
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