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木内博一の和のマネジメントと郷の精神

農業にサービス業を融合させる

毎年、オーダーなしの製造を繰り返す農業という業態。マーケットと乖離したこんな製造業がこの先、続けられるはずがない。お客さまからのオーダーをもとに再生産価格を確保する。それが農業者が目指すべき姿だ。そして、農業でさらなる収益向上を図るには、次のステージを構築する必要がある。製造にサービスを融合するのだ。
 農業とは一体、何なのだろう。20年前、農業をはじめたころ、私は大きな疑問を感じていた。種を買い、肥料・農薬を仕入れ、生産活動を行ない、機械・設備の減価償却もする。極めてシンプルに考えれば、農業は製造業である。当たり前のように思えるが、あらゆる分野の製造業はオーダーがあって初めて製造にかかる。しかし、自分を含め農家だけはオーダーなしで製造を行なっている。「好き勝手に作ったもの」を市場に出し、結果は「儲からない」を毎年、繰り返している。こんな製造業がこの先、成立し得るのだろうか? 続くはずがない。


真っ当な製造業になるために

 そう結論づけてから私は、マーケットインの発想を意識し、事業としての農業に取り組むようになった。マーケットインとは、お客さまの求めるもの=オーダーを絶えずマーケットから広く拾い集める発想と行動のことだ。真っ当な製造業になるために、オーダーに対して生産コストが合う・合わないを判断し、それを仲間の組合員農家に製造委託する仕組みを作ろうと思った。和郷園の始まりである。試行錯誤を重ね、我われは農家都合の「好きなものを作る」レベルから脱し、再生産価格を得られるようになった。実際の事業として形作るのはたいへんだったが、皆の力で瞬く間に成し遂げることができた。

 しかしこれは製造業としての第1ステージをクリアしただけに過ぎない。世の中を見渡せば製造業の中でも、発展するものと停滞するものとに分かれる。前者の代表は自動車産業であり、後者は電化製品産業だ。

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