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その夕方のNHKのTVでは日本気象協会の人が「本日の予報が外れてしまいました。こんなこともあるんですね、アッ、ハッハッ」と思いっきりの笑顔で、もちろん麦の収穫で北海道では数億の損害があったこと知らずに画面に登場した。翌日、どのようにやればその笑顔が作れるのか興味があったので気象庁に電話した。人生初のクレーマー体験である。もちろん話の本質である昨日の天気予報が外れ、ひどい損害になったことも伝えた。「一番納得いかないのは放送中、大声で笑った野郎だ、そいつを出せ!」と今でもその時のことをはっきり覚えている。
気象庁の電話口の係は黙って私の話を聞いていたが、最後にこんなことを言い放した。「お客様の御相談窓口は日本気象協会になり、私達は関係ありません。気象庁ではデータの提供のみを行なっております」。
え、えっ? つまりこういうことだ。気象庁は基本的にはデータ作りとその提供を目的としていて、予報に関しては天下り団体の日本気象協会で行なうことになっているらしい。そこで私はその日本気象協会はどこにあるのか聞いてみた。電話口の係員はこう言った。
「当ビルの5Fにあります」
バカ野郎だ(発言はしなかったが)。
自分達の仕事に自信がないものだから、天下り団体に責任を負わせようとするナメクジ根性はキモ過ぎだ。
現在では気象庁や独自のデータを使い民間でも予報が出せるようになったことは選択の幅や正確さを競う上で有効と言えるだろう。その後、努力は報われTVで大笑いした彼は、その1週間後から現在まで画面に登場することはなかった。
実は電話ではもっと面白い話をした。当時の話だが、TVやラジオでは“明日の天気”とは言わないそうだ、正しくは“明日の天気予報”が正しく、現在でも気象庁は“予想”という言葉を頻繁に使っている。
この根性の座った電話の係は「それほど天気にご興味があるのだったら有料でスポット予報もできますよ、1週間でたったの40万円です」だってさ。その当時、網走の農協では麦刈の適期を予測するために有料で予報をしてもらっているとの情報を聞いていたので、その話をわが町JAながぬま内田組合長に話をした。町全体では40万円では済まない金額であったにも関わらず、興味を示していただいた。そして現在では無料、そうなんです、タダで利用できる営農ウェブ・てん蔵が長沼の生産者の携帯電話に天気予報やスポット予想が送信されることで、的確な短時間予想が可能となった。それはそれで素晴らしいはずだったが……。
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宮井能雅 ミヤイヨシマサ
西南農場
代表取締役
1958年3月、北海道長沼町生まれ。現在、同地で水田110haに麦50ha、大豆60haを作付けする。大学を1カ月で中退後、農業を継ぐ。子供時代から米国の農業に憧れ、後年、オーストラリアや米国での農業体験を通して、その思いをさらに強めていく。機械施設のほとんどは、米国のジョンディア代理店から直接購入。また、遺伝子組み換え大豆の栽培を自ら明かしたことで、反対派の批判の対象になっている。年商約1億円。
北海道長沼発ヒール宮井の憎まれ口通信
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