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江刺の稲

規模拡大を望むなら深く耕せ

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第7回 1994年09月01日

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 そして、寒の間の反転耕が、どれほど夏の草取りを減らし、深い作土が作を確かなものにして栽培を安定化させ、夏を楽にするかは、体験している人であれば分かるはずだという。「反転耕」をするというのが「耕すこと」なのであり、それはただ単に土を柔らかくすることとは違うのだ、と高松さんは強調する。みすみす夏が忙しくなるような「省略」なんて、「省力」にも「低コスト化」にもつながらないと言うのだ。

 このことは僕がお話を伺えた優れた農業経営者たちに共通する考え方だった。

 滋賀県の中主町で四〇haの稲作を二人の後継者とともに経営する中道登喜造さんからは、

 「もし規模を拡大したいと思うなら、深く耕しなさい」

 と聞かされた。そして二人の後継者は「冬にこそ働く」ことを実践していた。

 北海道の栗山町で三〇〇haの小麦作を三〇年間も続ける勝部徳太郎翁もまた、

 「五反分で食える者でなければ規模の拡大はできないよ」と、三〇〇haの現在を語るのでなく、その基盤を大事に考えるゆえに「飯が食える者」とそうでない者の違いを話してくれた。

 これらの人びとは、規模だけでなくその経営成果を含めて新政策の水準をすでに実現している家族経営の経営者である。自らの投資によっての基盤整備を含め機械化レベルも極めて高いが、何よりも耕すことにこだわる。それが結局もっとも安くつくことをご存知だからなのだろう。

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