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視点

「モノづくり」から「市場づくり」へ

人口が約1億2,000万人の日本は、内需で利益を出せる限界点にあり、これまで輸出は国民の生活をより豊かにする方策だった。対して人口が約5,000万人弱の韓国では産業を育てるのが難しく、輸出なしには立ち行かない。それゆえ輸出に対する意気込みが日本と違い、グローバルマーケティングが発達した。その代表的な成功例が、家電メーカーのサムスンである。
 人口が約1億2,000万人の日本は、内需で利益を出せる限界点にあり、これまで輸出は国民の生活をより豊かにする方策だった。対して人口が約5,000万人弱の韓国では産業を育てるのが難しく、輸出なしには立ち行かない。それゆえ輸出に対する意気込みが日本と違い、グローバルマーケティングが発達した。その代表的な成功例が、家電メーカーのサムスンである。

ほとんど無名だったサムスンのブランドが、実質5年で世界中に広がったのは、「モノづくり」ではなく「市場づくり」に専念したからだ。車を買える程度の経済力を持つ、世界中の富裕層・約七億人を顧客としてとらえ、そこに集中して売り込む。「市場に商品を合わせるか」「商品に市場を合わせるか」の発想が大事なグローバル市場で、後者の道を選んだのである。


メガブランドを重視する

 ブランドには、「SONY」のようなメガブランドと、メガブランドが確立した商品やサービスにつけるサブブランドがある。サブブランドを浸透させるためにコストを投下するのは無駄と考え、メガブランドの普及に力を注ぐのがサムスンの戦略だ。まず携帯電話のような先端商品で憧れのブランドイメージを確立し、一流メーカーという認識を広げる。ブランドが完成したところで、一般的な商品を提供していく。富裕層へフラグシップモデルを提供しながら、一般層にも受け皿となる商品を用意しておく。ターゲットは所得の上位10%と割り切り、誰にでも提供することはしない。

そして購入者に影響を与える“インフルエンサー”を重視するのも、戦略のひとつだ。政府の高官、マスコミ関係者、カリスマバイヤーなどの評判は同じ層へ広がっていくため、積極的に売り込む。このような広告費をかけない方法であれば、中小企業も真似をしやすいに違いない。


最初の輸出は質の高い商品を

 「海外市場は売れ残った在庫を処分する場」という考えは、完全な誤りである。特に最初は、高品質で高価な商品を輸出する必要がある。それによって「日本製はいい」と認知されれば、他の商品へも触手が伸びていく。たとえば、最初はなじみやすいミカンでも超高品質のものを持ち込み、次にメロンのような高級品へと順次商品を拡大していく。

日本は土地も人件費も高く、今後は少子化が進み収入が減っていくのだから、商品をブランド化して海外へ輸出していくのは、宿命と言ってもいい。幸運なことに日本は長寿の国で清潔・健康というイメージが世界的に流布している。そこで農産物が打って出るチャンスは、決して少なくはないように思う。 (まとめ・鈴木工)

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