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新・農業経営者ルポ

農機具を自作し、開発型農業を楽しむ“豊橋のエジソン”

農業を裏側からのぞき見る感性を磨いて

 ちょうどその頃、小型乗用管理機や野菜移植機が市場に出回り始めた。

 「路地野菜は農機具を賢く使いこなせばチャンスだと思いました」

 本格的に就農する決意をした柴田は、楽しみながら自分なりの農業を目指したいと考えた。開拓時代のような過酷な労働はしたくない。日本の農業は、もっと機械化や効率化が可能だ。そう感じた柴田は、まず農機具販売店に半年間入り浸った。すると、農家の側からでは見えない、農機具店の側からの農業の現状が見えてきたという。トラクター、播種機、移植機……。様々な農機具を修理に持ち込む農家はいつも同じで、ユーザーとしての必要最小限の知識や修理技術を持たない農家が多いことに愕然とした。農機具は繁忙期に故障する。あわてて販売店に持ち込んでも、修理の時間がかかるため、新しい製品を薦められるままに買ってしまう農家が後を絶たない。農家にとって農機具とは、重要なパートナーである。最低限のメンテナンスはもちろん、本当に必要なものとそうでないものを見極める力を持たずに農業経営者とはいえないのではないだろうか。柴田は故障が発生しやすい部品を分析しながら、代用できる安い汎用品と中古部品をストックすることにした。

 「初期投資は1400万円かけたけど、その多くは中古品を修理したり改造したりして有効に活用してます。日本の農機具は高すぎる。補助金なんて使わない。私はずっと無借金経営ですよ。あーはっはっは」

 柴田の開発した農機具はこれまでに100を超える。小さなシャベルを長い柄に付けた鍬など、小さなものだけでなく、播種機やシソ刈り機など大型農機も作ってしまう。生研センター・農業機械化研究所(編集部註・農業機械の開発改良研究及び検査鑑定業務等を行なう農業機械専門機関)もその技術力に注目している。同機構が開発したハクサイの自動結束機の改善点をアドバイスしてほしいという依頼があるほどだ。

 柴田が開発した「カニさん2号」は、全自動ではないが、同じく白菜を結束する時に使用する作業用の三輪車だ。作業姿勢を改善し、圃場の畦をまたぐようにして楽に横移動することを目的として開発された。一見、何の変哲もない三輪車に見えるが、これがなかなか奥が深い。開発後も、現場作業の動作改善を続けている。農作業においては同じ姿勢が身体に大きな負担を与えるため、結束作業をする時はあえて腰掛けず、前かがみで作業する。結束後に足腰を伸ばす運動が入ることで、結果的に疲労を軽減することが可能となった。さらに、移動する横方向に向かって勢いを付けて腰掛けると、惰性で楽に移動できることにも気が付いた。圃場がぬかるんで車輪が重くなった時の対策も怠らない。フレームにゴムチューブを取り付けて腰に巻くことにした。すると、身体の移動で引っ張られたゴムの収縮力によって、自動的に三輪車が動くというわけだ。

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