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新・農業経営者ルポ

農機具を自作し、開発型農業を楽しむ“豊橋のエジソン”


 農作業の効率化には、機械化の技術と、作業・動作の改善という2つの要素がある。全自動の機械化が「最高」の技術なら、作業姿勢の改善は「最適」化の技術といえるだろう。経営にとって大切なのは、最高ではなく最適なのである。最高の技術は高価だが、十分な機能を持っているとも限らない。生研センターが開発した結束機はハクサイひとつ縛るのに10秒かかり、実用化すれば販売価格は100万円を想定している。一方、「カニさん2号」は2秒足らずで一工程が完了し、製造コストも廃品利用が可能なのでタダ同然。

 「農業は狩猟採取時代の次に登場した労働なのに、他産業と比べると、まだまだ機械化や技術が遅れている上に、一般化していない。現場の農家たちが、もっと楽しみながら取り組むべき課題だと思うんです」


経営者が取り組む開発型農業

 柴田は、今年の開発期間で「シソ刈り4号」の改造に着手するという。これまで50cmだった刈り取り高を35cmまでに引き下げて、生産量を上げることが狙いだ。もともとお茶刈り機をベースにしているため、背の低いシソ科の作物には十分対応できなかったのだ。刈り取り部分を新たに作る大掛かりな改造作業になるが、これまで1シーズン12回しかできなかった赤シソの収穫を、14回に増やせるようになる。さらに、今後は、春菊などほかの作物にも応用できると期待している。21世紀の農業を、経営者が自ら取り組む「開発型農業」と位置付けた柴田の挑戦は続く。

(本文中敬称略)

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