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特集

増収こそ稲作経営の王道〜経営者よ、現状に甘んじることなかれ〜


 そんな平野氏は、現在の農業のありかたについてこう語る。

 「よくコストダウンなんて言うけど、その前にまず増収だろう。その技術がある農家ならわかるが。作れもしないで何がコストだ。専業の百姓なら1日2、3回圃場を見ろよ。朝と夕方で何が違ってるのか、なぜ違ってるのか、自分の田のことを説明できる人がどれだけいる?だから、自分が使う技術の評価もできない。まずはそこからだよね。元肥主義、多肥栽培、その上で、倒伏するから倒伏軽減剤、様々な防除剤だと。なんでその技術を疑わないのだろう。それは所詮、田植機を普及させるための施肥であり、農民に資材を沢山使わせるだけの技術じゃないのか。俺がやっているのは、そんな資材や機械に頼る術のなかった時代に昔の人が土や田や稲のことを考え抜いた方法を現代化し、さらに発展させたもの。だから、新しいことやっているわけじゃないんだよ」

 「湿田こそ多収と良質米の条件」と語る平野氏とその技術。多くの読者にとって平野氏と条件は異なるはず。しかし、答えを教えてもらう作業員のような農家になっている限り増収も利益も無い。まずは、権威や教えられた知識あるいは答えに頼るだけではなく、自らデータを取りながら検証し、自らの方法を作り上げていくことの大事さを語るのである。

 減反政策が始まって、約40年。増収することより、収量を減らすほうが“褒められてしまう”稲作指導が当たり前になってしまった。その経営観の異常さをもう一度考え直してみようではないか。(昆吉則)


■平野 廣明氏
平野農場 新潟県新潟市
プロフィール 1989年にエム・エス・ケー東急機械(現・エム・エス・ケー農業機械)を退職後、就農。圃場機械のほとんどは自ら改造を重ねたもの。経営面積約22ha。販売は独自ブランドの玄米と精米を新潟県内の米店に出荷するほか、全国の個別の顧客にも販売している。

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