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特集

増収こそ稲作経営の王道〜経営者よ、現状に甘んじることなかれ〜


「やっていることは、昔ながらのこと」だと言う、平野氏の経営観と技術をあらためて聞いた。なお、平野氏は2004年の9月号で「スーパー読者の経営力が選ぶ あの商品この技術」というコーナーに登場している。本誌の定期購読者にはネット上でバックナンバーを閲覧が可能なので、併せてご覧いただきたい。

ひこばえの出るコメは不味い

 「早生品種はともかく、通常品種ならひこばえの出る稲作りではコメの食味は上がらないよ」

 収量と食味の関係について話が及んだ時、平野氏はそう言った。言われて平野氏の収穫後と他の水田を見比べて驚いた。周辺の田はことごとくひこばえが出ているのに、平野氏の田は刈り取ったままの稲株が枯れ上がったままだ。

 ひこばえは地力のある田や暖地だから出るのだと思っていたが、「肥料が過剰だからであり、それが食味を落とす」と平野氏はいう。先述の通り平野氏の施肥は窒素単肥で1.5kgだけ。それも元肥ゼロのいわゆるV字稲作だ。

 「過剰ではなく、足りるだけの栄養を吸収させ、稲の命をきちんと全うさせてやれる田を作り、施肥量は必要最小限すること。肥料で増収するわけではない」

 実をつけるとは、次世代を残すということ。稲をきちんと死なせる稲作りが健全な子実をもたらす。だから食味も上がるというわけだ。そんなひこばえが出ないほどに肥料を限定的にしている平野氏は、春に元肥はやらないが、肥料分を使いきったと思うような田には3年に1回くらい秋起こしの前にお礼肥えを施す。

 食味計を新潟県では経済連と同時期に2000万円も投資して購入したという平野氏は、作業を請け負っている農家の米の食味値を出して情報提供している。お客さんへの情報提供というだけでない。食味のチェックを含めて、地域の農家の作業を請け負うことでその土壌管理のレベルが分かり、栽培方法と収量や品質の差を検証する貴重な情報源にするそうだ。

 「今年は初夏の日照不足で不作基調だったが、そんな年だからこそ収穫量も食味も地力の違いがはっきり出ている。8俵より10俵とってる人の方が食味値が高い。とれないのは田んぼを作らないで肥料をやり過ぎているから。それに有機神話に踊らされているね。BLコシで減農薬だなんて、取り返しの付かないだめな土地になる場合があるよ。そんな人に今年は稲こうじが蔓延している。BLはイモチには抵抗性があるかもしれないけど、過剰施肥の結果で稲こうじが出ているんだよね。あれ使え、これ使えと言われて高い資材使ってコストを上げ、その上、減農薬で8俵どころか等外のコメ作ってる。それでどう経営が成り立つのかね。原価かかって収量が少ないからって所得補償かい、笑っちゃうよね」

 平野氏がかかわる農家に対するアドバイスは地力の無さについてのことがほとんどだというが、稲作りのプロとしての自覚がないことが最大の問題だという。

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