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編集長インタビュー

農業生産に参入することは小売業が果たすべき役割なのだろうか?

  • (株)オフィス2020新社 『2020VALUE CREATOR』主幹(流通ジャーナリスト) 緒方知行
  • 第63回 2009年11月01日

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農地法改正以降、企業の農業参入がニュースとして取り上げられることが多くなった。しかし、我が農業界からすれば、なぜこぞって生産分野に参入したがるのか、理解に苦しむ部分も少なからずある。今回はおなじみ流通ジャーナリスト・緒方知行氏にご登場いただき、イオンやセブン&アイ・ホールディングスグループなど大手小売業者の農業参入問題について語り合った。
健康という価値を農業が提供できる時代に

昆吉則(本誌編集長) 本誌には何度もご登場いただいている緒方主幹です。今回のインタビューは雑誌『2020VALUE CREATOR』でも掲載させていただくことになっています。

緒方知行((株)オフィス2020新社主幹) イオンやセブン&アイ・ホールディングスグループが「農業に深く関わりを持とう」とし始めた今、あらためて昆さんにお聞きしたいことがでてきましたので、今回もよろしくお願いします。

昆 最近、私はロシア・ウラジオストック、それに中国・北京周辺に視察に行ったのですが、それらの国々に限らずとにかく日本人の農業経営者に来て欲しいという声がたくさん寄せられます。生産者としては日本の厳しいマーケットで鍛えられてきただけあって、世界レベルに到達している方々ですから、当然といえば当然ですけれどね。

緒方 日本のあらゆる産業の強みは、このうるさい市場があったということに尽きますよ。米国人から見たらきっと考えられない。現地に経営者を派遣して作る野菜は、日本国内向けですか?

昆 いえ、その海外の生産地を拠点に輸出するわけです。高く買ってくれる市場がもうすでにあるわけですから。

緒方 だけど、農業従事者の高齢化と言われているでしょう? その辺はどうなのですか? 

昆 有望な若い世代、消費起点で発想ができる人材は農業界に入ってきていますね。

緒方 世界をこれから相手にして、活動していくわけですから、期待できそうなのですね。私は、保護漬けの農業界に若い世代は憧れを持てず、入ってこないと想像していました。ただ、国内で農業が産業化するのだろうか? という疑問も私は持っているのですが、昆さんはいかがですか?

昆 規模の問題でいけば、そういった疑問も出てくると思います。しかし、どのようにお客様に必要とされる商品、サービスを提供していけるかということを突き詰めて考えていけば、農業には非常に可能性はありますよ。お天道様や土という農業が持っている魅力に注目が集まっている今、静脈産業、循環産業として成立すると思っています。たとえば、健康保険組合をビジネスパートナーとして、サラリーマンの健康・癒しを与えるサービス業としての農業とか、あっていいじゃないですか。

緒方 なるほど、健康産業としての農業ですね。

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