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江刺の稲

“精神の鎖国”を超えて

  • 『農業経営者』編集長 農業技術通信社 代表取締役社長 昆吉則
  • 第164回 2009年11月01日

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海外の政府機関や企業、あるいは国内の商社関係者から、海外農業生産に取り組む農業経営者を紹介して欲しいという要請が急に増えている。読者の中には既に海外農場を経営する人もいるが、そのチャンスの大きさを考えてみれば、もっともっと海外生産に取り組もうと考える人々が出てくるべきだ。
海外の政府機関や企業、あるいは国内の商社関係者から、海外農業生産に取り組む農業経営者を紹介して欲しいという要請が急に増えている。読者の中には既に海外農場を経営する人もいるが、そのチャンスの大きさを考えてみれば、もっともっと海外生産に取り組もうと考える人々が出てくるべきだ。

南米、豪州、ロシア沿海州などで海外から移住し、そこで農業に取り組む人々にたくさん出会ってきた。そんな人々の姿を見るにつけ、農業政策やマーケットへの不満を語りながらも、日本の現在に安住するわが国の農業経営者たちの心の中にある“精神の鎖国”を感じる。

これまでも、何度も申し上げてきた。日本は世界でもっとも高齢化の進んだ国である。2002年を境にしてEU諸国より高齢者人口の比率が多くなり、その後も日本の高齢化人口比率は急速に増加している。厚生労働省によれば、2015年には65歳以上の人口比率は25%を超え、世界でも稀な超高齢化社会になってしまうのだ。

相変わらず農業界では「農家の高齢化」などとのん気なことを語っているが、本当に日本農業の将来を考えるのであれば、農家の高齢化はむしろ農業構造改革にとって望ましい事態だ。むしろ国民あるいはマーケットの高齢化こそ大問題なのである。日本国内では農業のマーケットが急激に縮小していくからだ。であればこそ、輸出であり海外マーケットの開発とセットになったメイド・バイ・ジャパニーズが必要なのである。

その気がないわけではなくとも「言葉ができないから……」「海外の事情がわからないから……」などと尻込みをしている人はいないだろうか。うまくいかない理由探しをするような人はもとより失格だ。もしその必要を感じるのなら、何を解決すればよいのか、どのようにしてそのマーケット開発やビジネスパートナー探しができるのかを考えてみるべきだ。

豪州と世界マーケットに供給しようと協力を求めている豪ビクトリア州政府。東欧バルカン地域からEU、ロシア地域にマーケット開発を考えている日本商社。中国の富裕層向けに、有機を中心としたジャパン・プレミアムを生かした農業生産の場を提供したいと語る中国の高級食品スーパー経営者等々。あるいは西オーストラリア、ロシア沿海州、ウルグアイ、ベトナム等も期待のできる地域だ。そんな、本誌に対して具体的な進出要請がきている地域に、ビジネスチャンスとビジネスパートナーと出会う使節団を出したいと思っている。

かつて西オーストラリア州のパースで出会った同州最大のスプラウト生産者は、ベトナムからの難民としてそこに定住した人だった。そのほかにも、オーストラリアでは、イスラエルや東欧諸国あるいはアジア各国からきた農業経営者が、多様な農業を展開していた。それも、英語を自由には扱えない人々がである。

しかし、日本の農業経営者の場合、まさに“ジャパン・プレミアム”を持った存在なのである。日本あるいは日本人農家という信頼。和食ブームの中でマーケットが広がる日本食材。であればこそ、世界各地からビジネスパートナーになりたいと要請がくるのである。

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