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過剰の対策、欠乏の克服

北海道の土と土壌水分


 土壌や根の状態を常に観察することや実際に確認することができないために、根と土の関係を単に「複雑なもの」と片付けたくなってしまいがちですが、そこで諦めずにしつこく粘って理解に努めましょう。


土壌水分と根張りの関係

 前置きが長くなりましたが、根の発達や発根、伸長、吸水、吸肥などに最も深く関わっているのは、土の水分含量や土壌中の「水」の動きです。土づくり運動では堆肥施用がよく登場しますが、これも土壌水分が適正になっていることが前提です。

 どの程度の土壌水分なら適正なのか、根を発達させられるのかを明らかにするヒントは、根の発達を妨げる土壌水分がどの程度なのかを考えてみることからも見えてきます。

 土壌水分が適正でない状態として、まずはっきりしているのは、土中に水分が充満してしまって土の間隙に空気が存在しない状態になっているような時です。根が伸びるには細胞分裂をしなければならないのですから、栄養吸収によってエネルギーをつくる必要も出てきます。

 水分不足の場合は、その程度によって作物にどのような影響があるかといえば、乾燥気味でも思いのほか根が伸びることがあります。この現象は土壌の深いところに水分があり、土の硬度がそこまで根を伸ばすことができる15平方メートル/kg以下であるようなときです。このような土壌状態になっていれば、地表がカラカラ、干ばつぎみでも根は伸びます。

 これには下層に貯水されていた土壌水分が毛管上昇作用で上に昇ってくるという働きも関係しています。水が上昇移動するのは 毛管運動が起こるpF2・7くらいまでの範囲の時です。それ以上に乾燥すると下層の水は水蒸気となって土の間隙を移動します。つまり、作物の吸水量を上回る水分は無駄に気化してしまうということです。

 この現象をなるべくゆっくり進行させるのに有効なのが地表面のマルチです。マルチをすることで土の粒子間の隙間(孔隙)が水蒸気で満たされるわけで、これは根に酸素と水の両方が供給されることにほかなりません。

 ただし、この現象には一定サイズの土の隙間で起こるという条件があります。一定サイズというのは土の隙間としては大きい寸法で、砂粒にできる隙間から火山灰表土にできる程度の隙間といえば、おおよそ理解できるのではないでしょうか。

 重粘土やトラクタで圧密化した土では、この現象が起こることはあまり期待できないということになりますが、もっともこのような土では、根が伸びる第一条件である土の硬度において、そもそも失格です。

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