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【農水捏造 食料自給率向上の罠】
民主党「農業者戸別所得補償制度」に代わり、「日本農業成長8策」で米国農業を追い越せる!(民主党「戸別所得補償制度」徹底分析4)
- 農業ジャーナリスト 浅川芳裕
- 第14回 2009年11月01日
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前号に引き続き、民主党の赤字補償政策「農業者戸別所得補償制度」に変わる、農業振興の方法論について8の提言を行なう。
名付けて「日本農業成長8策」だ。
ポイントは、税金をできるだけ使わずに、農業の市場規模を拡大し、農家の所得を増大させ、関連雇用を生みだし、地域・国家の税収を増やすことだ。
長年、農業界には3兆円規模の税金が投入され、農家の払う税金は数100億円と著しい不均衡があった。農業分野を保護するための高関税政策によって、WTOやFTA貿易自由化交渉を頓挫させ、製造業の輸出機会を奪ってきた。日本経済が苦しい今こそ、農業界は税金の配分を求めるのではなく自ら成長発展し、支払う役割を果たすべきときだ。官民問わず、長年税金で育成されてきた農業界の人的資源を有効活用すれば可能である。
第1に、最も需要のある「民間版・市民(レンタル)農園の整備」を行なう。
現在、市町村が運営する市民農園はほとんどが募集定員オーバーで何年も順番待ちの状態が続いている。土いじり志向の強い団塊の世代に加え、20~40代の子供連れの利用者が急増している。ならば、農園を借りたい人を取りまとめ基金を作り、貸農園の建設をプロの農家に呼びかける。サービスマインドのある農家なら自ら維持、運営主体になってもいいし、民間主導のプロジェクトに農家が参画する手もある。たとえば地域で合意を形成し、民間が公共的なサービスを提供するPFI方式で進めることができる。Private Finance Initiativeの略で、民間の資金、人材、ノウハウ、マネジメントを活用する手法である。こうした自律的な成長案件に対して、政府が農地法の規制緩和やサービス料の一部支払いなどを通じてバックアップすればいい。
300万世帯の潜在需要を見込めば、現在、3200ある市民農園をプラス3万件創出できる。一家族の利用料が月々5000円、年間6万円としても、貸農園代だけで3000億円の新市場ができる。農家にとって農園開発投資の請負を事業化できれば、開発費売上として別途5000億円ほどのビジネスが生まれる。癒しや食育、食の安全がクローズアップされるなか、農業体験、貸農園といった非農家による“農業消費”のマーケット拡大の伸びしろは大きい。農家だけが持つ栽培ノウハウを広く国民に開放することで、農家は自律でき、利用者も楽しめる。専業農家にとっては、通年サービスを提供できない疑似農家と差別化する方法としても有効だ。農業界はいま、レジャーや観光、教育、医療といった産業界の知恵や実績を吸収しながら、新たなビジネスを創出できる絶好のポジションにある。
名付けて「日本農業成長8策」だ。
ポイントは、税金をできるだけ使わずに、農業の市場規模を拡大し、農家の所得を増大させ、関連雇用を生みだし、地域・国家の税収を増やすことだ。
長年、農業界には3兆円規模の税金が投入され、農家の払う税金は数100億円と著しい不均衡があった。農業分野を保護するための高関税政策によって、WTOやFTA貿易自由化交渉を頓挫させ、製造業の輸出機会を奪ってきた。日本経済が苦しい今こそ、農業界は税金の配分を求めるのではなく自ら成長発展し、支払う役割を果たすべきときだ。官民問わず、長年税金で育成されてきた農業界の人的資源を有効活用すれば可能である。
日本農業成長8策
第1に、最も需要のある「民間版・市民(レンタル)農園の整備」を行なう。
現在、市町村が運営する市民農園はほとんどが募集定員オーバーで何年も順番待ちの状態が続いている。土いじり志向の強い団塊の世代に加え、20~40代の子供連れの利用者が急増している。ならば、農園を借りたい人を取りまとめ基金を作り、貸農園の建設をプロの農家に呼びかける。サービスマインドのある農家なら自ら維持、運営主体になってもいいし、民間主導のプロジェクトに農家が参画する手もある。たとえば地域で合意を形成し、民間が公共的なサービスを提供するPFI方式で進めることができる。Private Finance Initiativeの略で、民間の資金、人材、ノウハウ、マネジメントを活用する手法である。こうした自律的な成長案件に対して、政府が農地法の規制緩和やサービス料の一部支払いなどを通じてバックアップすればいい。
300万世帯の潜在需要を見込めば、現在、3200ある市民農園をプラス3万件創出できる。一家族の利用料が月々5000円、年間6万円としても、貸農園代だけで3000億円の新市場ができる。農家にとって農園開発投資の請負を事業化できれば、開発費売上として別途5000億円ほどのビジネスが生まれる。癒しや食育、食の安全がクローズアップされるなか、農業体験、貸農園といった非農家による“農業消費”のマーケット拡大の伸びしろは大きい。農家だけが持つ栽培ノウハウを広く国民に開放することで、農家は自律でき、利用者も楽しめる。専業農家にとっては、通年サービスを提供できない疑似農家と差別化する方法としても有効だ。農業界はいま、レジャーや観光、教育、医療といった産業界の知恵や実績を吸収しながら、新たなビジネスを創出できる絶好のポジションにある。
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浅川芳裕 アサカワヨシヒロ
農業ジャーナリスト
1974年山口県生まれ。1995年、エジプト・カイロ大学文学部東洋言語学科セム語専科中退。アラビア語通訳、Sony Gulf(ドバイ)、Sony Maroc(カサブランカ)勤務を経て、2000年、農業技術通信社に入社。元・SOGULマーケット専門官。元月刊『農業経営者』副編集長。現在ジャガイモ専門誌『ポテカル』編集長。2010年2月に講談社より発行された著書『日本は世界5位の農業大国-大嘘だらけの食料自給率-』がベストセラーになる。最新刊に『TPPで日本は世界1位の農業大国になる ついに始まる大躍進の時代』(KKベストセラーズ)がある。
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