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【農水捏造 食料自給率向上の罠】
民主党「農業者戸別所得補償制度」に代わり、「日本農業成長8策」で米国農業を追い越せる!(民主党「戸別所得補償制度」徹底分析4)
- 農業ジャーナリスト 浅川芳裕
- 第14回 2009年11月01日
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まずは世界シェア1%で1兆2000億円伸びる。
第5は、「検疫体制の強化」だ。
農産物貿易は国際検疫戦争の勝敗で決まるといわれるほど、検疫の重要性は高い。日本では検疫に必要な人材数が足りていない状態である。現在ほとんど付加価値を生んでいない農水省の職員を1000人規模で輸出検疫の作業を担当させる。日本の農産物を海外に売り込むための後方支援をやってもらう。現に、ニッポン農家の高品質な果物やコメを中国に輸出しようとしても、中国の検疫当局の難癖に対して日本の農水職員は人手が足りないと検査もまともにできないでいる。結果、中国で昨年売れた日本米はわずか6tしかない。
既存の公務員の有効活用だから、追加費用はかからない。
第6は、「農業の国際交渉できる人材の育成または採用」である。
WTOやFTAの国際交渉といっても結局、国益を前提に交渉人の人間力と議論スキルで決まる部分が大きい。しかし日本は他国と交渉をする際、「日本の農業を国際的に発展させる」という認識を持っている人がいない。議論以前の問題だ。
実状はひどいことに、農水省が世界中どの国も採用していないカロリーベースの自給率を英語で大本営発表している。通信社を通じて世界中に配信され、日本政府は自ら、いかに日本農業が弱いかをアピールしているのだ。
こうした体質を脱皮し、誇りを持って日本農業、農産物を世界にPRできる人材を育成、採用する。欧米の農業強国に習い、成功した農業経営者や海外で実績を持つ実業家を農業特使に任命する方法もある。5と同じく新たな税金はいらない。
第7に、「若手農家の海外研修制度」の拡充である。
全国の優良農場を歩いてみると、その経営者は若いときに欧米の農場で研修してきた人が実に多い。農業先進国で学んだ経験を日本で生かし、経営発展や顧客サービスにつなげているのだ。農業界に限らず、欧米の厳しくかつ豊かな農業経験者は政界、財界に数多くいる。技術を学んできただけでなく、異国で他流試合を重ね、文化や物事の考え方、リーダーとして、経営者としての生きざまを吸収してきたのだ。
すでに国の海外農業研修制度は存在するが、その予算は年々減ってきている。平均68歳の高齢の疑似農家100万人弱に毎年、100万円も所得補償する制度より、同じ100万円で意欲のある何万人もの若手農家や学生を世界に派遣したほうがどれほど、日本の将来にとって有益かわからない。高齢農家も農業の先輩として、若い農家が世界で活躍することに国が投資することを賛同してくださるはずである。
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浅川芳裕 アサカワヨシヒロ
農業ジャーナリスト
1974年山口県生まれ。1995年、エジプト・カイロ大学文学部東洋言語学科セム語専科中退。アラビア語通訳、Sony Gulf(ドバイ)、Sony Maroc(カサブランカ)勤務を経て、2000年、農業技術通信社に入社。元・SOGULマーケット専門官。元月刊『農業経営者』副編集長。現在ジャガイモ専門誌『ポテカル』編集長。2010年2月に講談社より発行された著書『日本は世界5位の農業大国-大嘘だらけの食料自給率-』がベストセラーになる。最新刊に『TPPで日本は世界1位の農業大国になる ついに始まる大躍進の時代』(KKベストセラーズ)がある。
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