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新・農業経営者ルポ

“しがらみ”を越えて農と食を結ぶ

  • (株)ファーマーズ・フォレスト 代表取締役社長 松本謙
  • 第67回 2009年12月01日

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 松本は、毅然とこう応えた。

「もし事前に相談したら、あなたたちは阻止するでしょう? 新しい取り組みを認めないでしょう? それじゃあ、何も変わらない。だからいきなりやったんです。組合長、いかがですか。本当は、いい刺激になったんじゃないですか?」
 同席していた組合長は何も答えず、笑い始めたという。松本は、この時、気持ちが通じたと確信したという。そして、待ってましたとばかりに、具体的な改善策を組合長や理事たちの前で熱く語った。生産、加工、販売を結びつける仕組みを作れば、無駄を減らせるではないか。レストランで食材を活用しながら、残りを惣菜にまわして販売することで、素材の歩留率を上げて収益性を高めることも可能となるではないか……。これまで外部委託してきた事業の枠組みだけでは実現しなかった発想が、頑なだった地元JAの理解を得て、具体化していった。


出張マルシェで新展開

 第三セクター時代のように、宇都宮市の中に閉じこもっているだけでは、事業の成長は望めない。そう考えた松本が次に取り組んだのは、直売所の出張販売だった。腰が重い生産者たちをバスに乗り込ませて、昔施設管理の会社で縁のあった、さいたまスーパーアリーナ(埼玉県さいたま市)で出張マルシェを始めたのだ。各生産者が作った野菜や果物を個人ブランドとして対面販売することにした。狙いどおり都会の消費者の心をつかむ事に成功。今では、第4日曜日に定期的に出店し、さいたま市の行政からも注目されるほどの賑わいぶりとなった。そして、わざわざ宇都宮市にあるろまんちっく村まで生産者を訪ねて買い物に来てくれる客も出始めたのだ。

 栃木県内での取り組みも始まった。11月には宇都宮駅の繁華街に「マチナカこだわりマルシェ@miya」という地域ブランドのアンテナショップを開店。2日間で8000人が詰め掛け、こちらも大盛況となった。人気商品は、野菜の惣菜やスイーツ。初年度の年間売り上げ目標は5000万円だが、目標設定を上回る順調なスタートとなっている。今後、ネット上に開設した「@agri」と連動させながら、産直宅配事業にも力を入れていくという。このウェブサイトでは、野菜や果物、加工品など200品目を取り扱っているが、年度内に1000品目に増やす予定だ。

 新商品を投入するための仕掛けもつくった。松本を中心に、優れた生産技術や加工技術を持つ農業士、ものづくり職人、フレンチシェフなどが参画する実務化集団「栃木プロデューサーブレイン」だ。既に低農薬野菜・果実を使用したベジタブルフルーツソースシリーズの開発プロジェクトが決定し、09年6月に農商工等連携事業としても認められた。

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