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編集長インタビュー

食の商業家として目指すのは“名馬”の“名伯楽”



福島 もちろん、そういうものは十二分にありえるとは思いますね。ただ、名馬に名伯楽ありということわざもありますけれど、やっぱりそういう存在は必要だと思うんです。みなさん商品づくりに奔走していますが、市場性を無視して好き勝手に作ってしまっているケースは多いじゃないですか。僭越ですが、私どもは名伯楽という立場でいろいろとお手伝いしたいと思っています。

昆 独自性を出そうとして、農家や小売だけでなく、行政などもこぞって何か商品化しようと走り回っていますよね。よく編集部にもそういった相談が寄せられるのですが、正直言って成功する例は少ないですね。特に行政主導になると、予算を消化することだけが目的化してしまっている。また、それに乗っかって期待する農家も甘いと言わざるを得ません。きちんと事業としてリスクを背負う覚悟があるのかどうかが大前提として問われてくるし、厳しさと理想を共有すればこそお客様に語りかける言葉が出てくるものだから。パートナーとしてではなく、誰かに任せる依存で商売をしようと思ったら大間違いですよね。

福島 私も第3セクターがだめだから、商品開発にかかわってくれと頼まれることがままあるのですが、実際その場では話が盛り上がるけれど、その後に連絡をして「あの話、進めませんか?」というと、「えっ、何お話でしたっけ?」と言われたようなことはありました(苦笑)。
 厳しい状況の中でも、腹をさらけ出し、お互いに同じ方向を見て前に進んでいけるかどうかですよね。たしかに、長い付き合いがあるとはいえ、農業経営者の方から「これ、余ってるんだけど、なんとか売ってくれないかな」といった相談を持ちかけられることはありますよ。困ったなぁとは思うんだけど、そういう時でも買い叩くんではなく、より付加価値をつけるように売ることを考えるようにしています。どう売るかを考えることは、おいしさとは何か、幸せとは何かを追求することと同じです。また、ビジネスパートナーである農業経営者との間に信用という無形の価値を残すこともできますので。私たちにお手伝いできることがあれば、ぜひ素晴らしい農業経営者のみなさんとお知り合いになりたいと思います。


昆 福島社長は最近本を出版なされました。『食の理想と現実』(幻冬舎メディアコンサルティング)というタイトルです。今回のインタビューで語り尽くせなかった気持ちが述べられています。ぜひご一読ください。本日はありがとうございました。

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