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「農政ジャーナリストの会」が11月6日に主催した講演会でわが山田正彦副大臣の評判が芳しくなかったという噂を耳にした。当日の演目は「民主党新政権の農業政策」。戸別所得補償の言い出しっぺだけに、自称他称含めて120人もの「ジャーナリスト」が集ってきた。
この面々が異口同音に山田副大臣の講演にマイナス点をつけてきたのである。中には、「政策をよく理解していないのでは……」と酷評するものもいたというのを、本誌編集長から聞いた。
農政ジャーナリストの会――わが読者には馴染みのない名前だろう。事務局が東京・大手町の新JAビル26階にあると説明すれば、賢明な読者なら、この会がいかなる性格の組織であるか、はたまた、そこに属するジャーナリストと称する面々がいかなる農業についての現場認識を持っているか、おおよその見当がつくだろう。
それはさておき、講演の抄録をすぐに農水省報道室から取り寄せてみた。ざっくり拝見して説明が足りない部分はあるにしても、少し身贔屓かもしれないが、批判を受けるような内容ではないように思えた。
実は、同じような指摘は赤松広隆農水大臣にもあった。11月22日、栃木県農協中央会(伊澤茂会長)の招きで小山市を訪れ、会長以下、県下の組合長らと懇談した際のことである。なぜか赤松大臣は、相手が求めた戸別所得補償制度についての詳細な説明を避けていた。それに不満を抱いた伊澤会長は、懇談後、朝日新聞記者にこう述べている。
「具体的にどう進めるのか、制度設計など明確な答えが得られず、残念だ。これでは農家に説明できない」
確かに説明不足の感は否めない。が、やむを得ない面もある。事業スタートが決まったのが10月中旬。大車輪で作業を進めて詳細なルールが確定するのは「12月10日頃」(戸別所得補償推進チーム)ということだ。来シーズンの種籾手配など作付け準備にぎりぎり間に合うことになるが、確かに農協にとってはかなり厳しい。詳細なルールの公表を受けて、来年の作付け計画を策定し、それを組合員に周知徹底して、種籾など資材の手配を進めるには、綱渡り的な作業が想定される。
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土門剛 ドモンタケシ
1947年大阪市生まれ。早稲田大学大学院法学研究科中退。農業や農協問題について規制緩和と国際化の視点からの論文を多数執筆している。主な著書に、『農協が倒産する日』(東洋経済新報社)、『農協大破産』(東洋経済新報社)、『よい農協―“自由化後”に生き残る戦略』(日本経済新聞社)、『コメと農協―「農業ビッグバン」が始まった』(日本経済新聞社)、『コメ開放決断の日―徹底検証 食管・農協・新政策』(日本経済新聞社)、『穀物メジャー』(共著/家の光協会)、『東京をどうする、日本をどうする』(通産省八幡和男氏と共著/講談社)、『新食糧法で日本のお米はこう変わる』(東洋経済新報社)などがある。大阪府米穀小売商業組合、「明日の米穀店を考える研究会」各委員を歴任。会員制のFAX情報誌も発行している。
土門辛聞
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