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100万kmを10億円で走ると言って集団で走り出したのが「国立ファーム」です。走り出したばかりの10km地点で足が痛くなってきた人がいます。丁度そのとき行く手の橋が工事で通行止めでした。それを理由に辞めていった社員がいます。その人たちが“負けない人生……”の人です。一度決めたことなのに「みんなができない理由」を見つければ継続しなくて良いと考える人たちです。
“勝つ人生を目指している人”は足が痛い上に遠回りをさせられるのかよ!と考えます。“勝つ人生”の人は、できそうもない理由は自分に対する負荷でしかなく、みんなができなかったとしても自分ができなければ自分が無能なだけで相対的な評価なんか関係なく、自分ができるかできないかという絶対的な自分に対する自分の評価しか興味がないんです。“負けない人生”の人は言葉の前に“他人に”が付いて、“勝つ人生”の人は前に“自分に”が付いているのです。
実は、僕が農業にやってきた理由はここにあります。農業生産者の多くの人が“負けない人生を目指している人”たちに見えるのです。競争社会で生きてきた僕にはとても大きな違和感があるのです。勿論、どんな業界でも“勝つ人生”タイプしかいないということはありませんし、どの業界でも嫉妬から“勝つ人生”は“負けない人生”に陰口を叩かれています。しかしその業界をリードするのは“勝つ人生”側の人であって、陰口を叩いている“負けない人生”側ではありません。資本主義経済の弱者である農業を守るために必要悪として、農業政策は弱音を吐いて陰口を言っている側を保護するために税金を使っています。だから農業は“負けない人生”がリードしているように見えてしまうのです。
“勝つ人生”がリードする他業界と“負けない人生”がリードする農業界、若者が見て後者をカッコ良いと思うはずがありません。全農さんが応援しているカーリングの「チーム青森」の選手は年収数百万円だと思います。数億円のプロ野球選手とは比較になりません。ですが「あたしらはマイナースポーツの貧乏選手なんだから、みんなで補助してよ!」とは言っていません。金にはなりませんが勝つために努力をしているはずです。そんな彼女らは少年少女から見て、イチロー選手や松井秀喜選手に負けていないヒロインです。
農業が“勝つ人生を目指す人”の業界になって、拝金主義者でない「ものづくり」が日本の先頭を走ってリードしていることを願っています。
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高橋がなり タカハシガナリ
国立ファーム(有)
代表取締役
1958年生まれ。専門学校卒業後、佐川急便にてドライバーを経験。その後テリー伊藤に見込まれ、「元気が出るTV」などのディレクターを務める。30歳で起業するも、二社の経営に失敗。三度目の正直でアダルトビデオメーカー「ソフト・オン・デマンド株式会社」を設立。10年で100億円企業にまで育て上げて引退する。2006年4月に「青葉株式会社」を立ち上げ、農産物の生産から流通、販売まで一貫して取り扱う「国立ファーム設立準備室」を青葉株式会社内に作る。過去にNTV「マネーの虎」に出演して一躍注目を集めたほか、『サイゾー』『Big tomorrow』『Ray』『R25』『フロム・エー』など多くのメディアに登場。人生を切り拓く独自の哲学が若者のみならず多くの人々の共感を得る。著書に『がなり説法』(インフォバーン)、『がなり流!』(青春出版社)、『社長の遺言』(インフォバーン)などがある。
高橋がなりのアグリの猫
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