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集約された農場ならともかく、複数の小規模生産者から原料を集めて製茶する場合は、栽培管理がまちまちであることは大きなリスクになります。この問題を解決するためにも、生産工程管理の標準化を図ることは切実な課題でした。加えて、自主的に商品検査を続けてきたとはいえ、第三者に証明されたものでなければ説得力がないのではないかという心配もありました。
組織的な生産・加工体系に適用しやすい団体認証制度があり、第三者による審査があるJGAPは、私どもに最適のツールだったといえます。
JGAP導入にあたって苦労された点、今後見込まれるメリットを教えてください
もともと組織的な生産・加工体系だったとはいえ、これまで協同組合が管理してきたのは工場だけで、個々の生産現場の状況を把握していたわけではありません。ですから農家一軒一軒の圃場を検証していく作業が必要でした。
まず、各生産者の圃場面積を確定していくことから始めましたが、「うちの畑は何反です」という自己申告が実際の面積と違うことも少なくありませんでした。地図と付け合せて確認すると、半分がイモ畑になっていることもありました。JGAPの運営においては、隣接する畑でどういう農薬が撒かれているかに留意することも重要です。産地化されて茶園ばかりなら管理もしやすいのですが、野菜やミカンの畑が混在する場合には、それだけ管理の手間が増えることになります。こうした手間を惜しまずにJGAPに取り組むよう、生産者を説得するのは大変でした。
ただ、今後はJGAPの導入によって、生産者側にも様々なメリットが生まれてくると思います。たとえばECセンサーを使って液肥を与えるテストを実施していますが、こうしたデータを蓄積していくことで、不要な肥料を撒かないで済む栽培体系を確立できるでしょう。農薬にしても今は農協や農薬メーカーが決めた防除暦に基づいて散布していますが、今後は細かくデータを取ることで、畑の状況に合わせたキメの細かい対応が可能になると思います。
茶葉の価格が下がって農家の経営も大変になってきている今、いかに無駄を洗い出し、コストダウンを図るかが重要です。これまでは作業の効率化について細かい分析がなされてきませんでしたが、そうした部分もJGAPによって改善していきたいですね。
グローバルGAPとJGAPの両方の認証を取得していますが、この二つを選んだ理由は?
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原田康 ハラダヤスシ
ハラダ製茶(株)
代表取締役社長
1943年生まれ。早稲田大学卒業。1983年よりハラダ製茶?の代表取締役社長を務める。同社は1917年(大正6年)の創業以来、90年以上に渡って茶の製造販売を手がける。
GAPレポート
世界80カ国の5万農場がグローバルGAPの認証を取得するなど、GAP認証制度は世界中に広がっている。わが国でも日本GAP協会のJGAPをはじめ、自治体や流通業者ごとのGAPが普及しつつあるが、その取り組みは緒についたばかり。適正な農場管理を実現し、競争力ある経営をもたらすツールとして、GAPをめぐる動きを報告する。
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