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木内博一の和のマネジメントと郷の精神

農家の世代交代が遅れる理由と解決法

景気の悪化から農家の経営環境はこれまでにも増して厳しい。貯えをもたない農家のおやじが、せがれに家督をゆずってしまえば、お金の出所を失う。そのため、「まだまだせがれにはまかせられない」。世代交代が遅れる理由だ。解決法を記す。

 農家の高齢化、後継者不足と言われはじめて久しい。後継者がいるといっても60代。80代の現役経営者のおやじから小遣いをもらってやりくりしている、という笑えない話もきく。

 自分のせがれが30代、40代になっても、譲らないのには、それなりに理由がある。「まだまだせがれには任せられない」と、おやじ=家長としての言い分もあるかもしれない。けれども、つきつめればもっと単純な話で、お金の問題に行き着く。

 農家は経営環境の厳しさから、貯えを持てない。そんな中、せがれに譲ってしまったらどうなるか。親にお金が回らないことは、重々承知している。現役の取り分が増えれば、おやじは今より待遇が悪くなる現実を直視しなければならない。せがれが経営環境を劇的に好転させてくれる保証はどこにもない。

 人間は弱い。もう少しやっていたい、もう少し余裕が出るまでといって、ズルズル経営委譲ができず終いになる。これまでと同じやり方で、ましてやいまの景気で突然余裕がでるわけがない。後継者がいない理由もここにある。


退職金に1500万円

 たとえ月に5万円余裕がある農家であったとしても、状況は変わらない。和郷園のメンバーでも「みんな飲んじゃって終わり」だ。よくても、5万円を1、2年も貯めたら、トラクタの小さいのか管理機を買って終わり。目の前にある金をあるだけ使ってしまう、親の世代から続いてきた農家経営のやり方だ。農業は現金決済が常であり、手元にある金の中で収支をなんとか合わせている。経営管理にはほど遠く、要するに、長期戦略を組んでいない。

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