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【木内博一の和のマネジメントと郷の精神】
農家の世代交代が遅れる理由と解決法
- (有)和郷、生産組合(農)和郷園 代表理事 木内博一
- 第15回 2010年01月01日
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農家の高齢化、後継者不足と言われはじめて久しい。後継者がいるといっても60代。80代の現役経営者のおやじから小遣いをもらってやりくりしている、という笑えない話もきく。
自分のせがれが30代、40代になっても、譲らないのには、それなりに理由がある。「まだまだせがれには任せられない」と、おやじ=家長としての言い分もあるかもしれない。けれども、つきつめればもっと単純な話で、お金の問題に行き着く。
農家は経営環境の厳しさから、貯えを持てない。そんな中、せがれに譲ってしまったらどうなるか。親にお金が回らないことは、重々承知している。現役の取り分が増えれば、おやじは今より待遇が悪くなる現実を直視しなければならない。せがれが経営環境を劇的に好転させてくれる保証はどこにもない。
人間は弱い。もう少しやっていたい、もう少し余裕が出るまでといって、ズルズル経営委譲ができず終いになる。これまでと同じやり方で、ましてやいまの景気で突然余裕がでるわけがない。後継者がいない理由もここにある。
退職金に1500万円
たとえ月に5万円余裕がある農家であったとしても、状況は変わらない。和郷園のメンバーでも「みんな飲んじゃって終わり」だ。よくても、5万円を1、2年も貯めたら、トラクタの小さいのか管理機を買って終わり。目の前にある金をあるだけ使ってしまう、親の世代から続いてきた農家経営のやり方だ。農業は現金決済が常であり、手元にある金の中で収支をなんとか合わせている。経営管理にはほど遠く、要するに、長期戦略を組んでいない。
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木内博一 キウチヒロカズ
(有)和郷、生産組合(農)和郷園
代表理事
1967年千葉県生まれ。農業者大学校卒業後、90年に就農。96年事業会社(有)和郷を、98年生産組合(株)和郷園を設立。生産・流通事業のほか、リサイクル事業や冷凍工場、カット・パッキングセンター、直営店舗の展開をすすめる。05年海外事業部を立ち上げ、タイでマンゴー、バナナの生産開始。07年日本から香港への輸出事業スタート。現在、ターゲット国を拡大準備中。起業わずか15年でグループ売上約50億円の農系企業を築き上げた木内氏の「和のマネジメントと郷の精神」。『農業経営者』での連載で、その“事業ビジョンの本質”を初めて明かす。
木内博一の和のマネジメントと郷の精神
起業わずか15年でグループ売上約50億円の農業ビジネスを築き上げた“農業界の革命児”木内博一。攻めの一手を極める氏の経営戦略と思考プロセスを毎月、明かしていく。
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